「TFCC損傷」とは?交通事故とケガの治療に関する用語

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TFCC損傷 [てぃーえふしーしーそんしょう]

意味
「TFCC」という手首を安定させるための軟部組織を損傷することです。治療しても、手首をひねると痛みがある、手首を動かしにくいといった症状が残ると、後遺障害の等級認定を受けられる可能性があります。
解説

「TFCC」とは、親指側の腕の骨である「橈骨」(とうこつ)と、小指側の「尺骨」(しゃっこつ)、そして、手関節にある8つの骨で構成される「手根骨」(しゅこんこつ)を繋ぐ軟部組織です。

TFCCは「Triangular Fibrocartilage Complex」の略で、日本語では「三角線維軟骨複合体」と呼びます。手首にかかる衝撃を吸収し、手首を安定させる役割がありますが、交通事故などで手首に強い衝撃を受けた際、TFCCを損傷してしまう可能性があるのです。

TFCCの場所を示した図。

TFCC損傷の原因

TFCC損傷はテニスやゴルフ、野球など、道具を強く握って手首に強い衝撃を受けるスポーツの競技者が多く発症することで知られています。また、運送業の方など重い物を持ち運びする業務が多い職業の方も発症しやすいほか、加齢による組織の変性が原因となるケースもあります。

交通事故においては、バイクや自転車から転倒して地面に強く手をつく、自動車のハンドルを握ったまま衝突するなど、手首に強い負荷がかかるとTFCC損傷を発症することがあります。

TFCC損傷の症状

TFCC損傷の主な症状として、手首を小指側に曲げる、重い物を持つ、ドアノブを回すといった場面で、手首に痛みが生じます。基本的に手首を動かすときに痛みが出ますが、悪化すると安静時も痛むことがあります。

また、手首が腫れる、手の力が抜ける感覚がある、手首を動かしにくくなる(可動域の制限)といった症状が出る場合もあります。

TFCC損傷の診断と治療方法

医師の問診や触診により、手首を強く押したり回転させたりした際に痛みがあるかを把握します。また、MRIや関節鏡検査などの画像検査を行うこともあります。

なお、TFCCは軟部組織なので、骨の異常などを調べるのに適したレントゲン撮影は行われないか、補助的に行われることが一般的です。

治療方法としては、ギプスやサポーターを使って手首を安静することで、症状を緩和させます。痛みが強い場合は消炎鎮痛剤や、ステロイド注射を用いることもあります。

これらの治療でも症状が改善しなければ、手術を行う場合もあります。

TFCC損傷と後遺障害

交通事故によってTFCC損傷となり、治療を続けても症状の改善が見込めないと主治医が判断すれば、後遺障害の等級認定を受けられる可能性があります。

後遺障害は、症状の内容や程度に応じて1級から14級に分類されます。TFCC損傷では、手首を動かせる範囲(可動域)が制限された場合と、制限されていないものの痛みが残った場合で、認められる等級が異なります。

可動域が制限された場合の等級

事故前と同様に手首を動かすことができなくなったなど、TFCC損傷により手首の可動域が制限される場合があります。可動域制限が認められる場合、制限の程度が大きい順に、8級6号、10級10号、12級6号のいずれかの等級に認定される可能性があります。

可動域が制限されていない場合の等級

可動域が制限されていなくても、手首に痛みが残れば等級認定が受けられる場合があります。等級は、画像診断などによる他覚的所見があれば12級13号、他覚的所見はなくても治療経過などから痛みの存在を医学的に説明できれば14級9号です。

等級ごとに認められる慰謝料の金額

後遺障害の等級認定を受けると、加害者側に後遺障害慰謝料を請求できます。慰謝料の金額は、認定される等級によって次のように異なります。

等級自賠責基準弁護士基準
8級331万円830万円
10級190万円550万円
12級94万円290万円
14級32万円110万円
  • ※2020年4月1日以降に発生した交通事故に適用される金額です。

認められる慰謝料は、どの基準で計算するかによって、金額に大きな差が生じます。加害者側の任意保険会社に慰謝料を請求する場合、最低限度の補償である自賠責基準と同程度の金額が提案されるケースが大半です。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためには、保険会社と交渉して増額を認めさせる必要があります。保険会社に増額を求める場合は、自分で交渉するよりも、弁護士に相談して交渉を依頼することをおすすめします。

保険会社は事故や交渉に関する専門家なので、自分で交渉しても増額を認めさせるのは不可能に近く、そもそも交渉に応じてもらえないかもしれません。この点、弁護士であれば、法的に認められる最大限の慰謝料を支払うよう適切に主張できるため、弁護士基準の金額まで増額が期待できます。

関連する用語
MRI[えむあーるあい] 症状固定[しょうじょうこてい]

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