「同意書」とは？交通事故の示談交渉と手続きに関する用語

0.交通事故では同意書が必要

交通事故の被害に遭うと、保険会社から様々な書類が送られてきます。
その一種が、加害者側の保険会社から送られてくる「同意書」です。

保険会社から同意書にサインをして提出するように求められますが、サインしてしまうと示談交渉などの今後の手続きで不利になるかもしれないと不安に感じる人もいるでしょう。

同意書を提出しても不利になることはありませんし、自分自身で治療費を支払う手間が省けるといったメリットがあります。
ただし、提出にあたって注意すべきポイントがあることも理解しておきましょう。

1.同意書の種類

同意書の種類として、主に次の2つがあります。

これらの同意書は、保険会社によって名称が異なる場合があります。
また、1枚の書面として送られてくる場合もあれば、別々の書面になっている場合もあります。

2.「一括対応」に関する同意書とは

そもそも「一括対応」とは、任意保険会社が、自賠責保険の分も含めて被害者の治療費を医療機関に支払うサービスです。

本来、被害者自身で治療費を支払ったうえで、治療後に加害者や加害者側の保険会社に治療費を請求することになります。
最終的に治療費は被害者に支払われますが、一時的に自身で費用負担する必要がありますし、請求する手続きの手間もかかってしまいます。

そこで、一括対応に関する同意書を提出することで、一括対応が継続している間は、被害者が治療費を負担する必要がなくなるのです。
一括対応のサービスを利用しても、今後の示談交渉などの手続きが不利になることはないので、一括対応を利用したい方は同意書にサインして提出しましょう。

3.医療照会・医療調査に関する同意書とは

医療照会や医療調査は、保険会社が被害者の具体的な症状や治療の内容、経過などについて、主治医に尋ねたり、カルテや検査記録といった資料を取り寄せたりすることです。

保険会社は、一括対応による治療費の支払いを続けるか、終了する（対応を打ち切る）かを判断するために医療照会や医療調査を行います。

しかし、患者の医療情報は個人情報に該当し、病院などの医療機関はこれを保護しなければならないため、保険会社は医療情報の開示に対する同意書へのサインと提出を求めてくるのです。

4.医療照会・医療調査への同意には注意が必要

医療照会・医療調査に関する同意書を提出すると、保険会社は、被害者の症状や治療内容などを調べ、「これ以上は治療する必要がないので（症状固定）、治療費の支払いを打ち切ります」と言ってくるようになります。

しかし、同意書を提出しないと、そもそも一括対応を受けられなかったり、すぐに治療費の支払いが打ち切られたりする可能性もあります。

つまり、一括対応を利用するのであれば同意書を提出する必要があるので、「治療費の対応を打ち切る」と言われた後にどのように対応するのかが重要になるのです。

5.「治療費の対応を打ち切る」と言われた場合の対応

まだ痛みが残っていて治療を続けたいのに、保険会社から「治療費の対応を打ち切る」と言われるケースは少なくありません。

治療費を支払ってもらうには、対応を継続するよう保険会社に求めたり、打ち切り後の治療費を自分で支払ったうえで、治療終了後に請求したりすることが必要です。

これらを行うには、保険会社と交渉し、治療を続ける必要性があることを認めてもらわなければなりません。
しかし、治療費の支払い額を少しでも抑えたい保険会社は、一般の方が交渉しても簡単には応じないので、交通事故に詳しい弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。

また、治療を続けても症状が改善しない場合は、後遺障害の等級認定の申請手続きを検討することになります。
後遺障害の等級認定を受けると、受け取る慰謝料などの金額が大幅に増額しますが、適切な等級に認定されるためには専門知識と経験とが求められるため、やはり弁護士に相談した方がよいでしょう。