一括対応 [いっかつたいおう]
- 意味
交通事故によるケガの治療を受ける際、保険会社が病院に治療費を支払うサービスです。加害者側の任意保険会社が対応するため、「任意一括対応」とも呼ばれます。
- 解説
- 目次[]
0.一括対応の利用で治療費の自己負担がゼロに
交通事故の加害者が任意保険に加入している場合、「一括対応」を利用することで保険会社がケガの治療費を支払ってくれます。
一括対応により被害者は病院の窓口で治療費を支払う必要がなくなるため、自己負担することなく治療を受けられます。
1.一括対応を利用するメリット
一括対応の利用には、次のようなメリットがあります。
- 治療費の自己負担がなくなる
- 請求の対象を一本化できる
- 後遺障害の等級認定の申請を依頼できる(事前認定)
1-1.治療費の自己負担がなくなる
一括対応の最大のメリットは、治療費の自己負担をなくせることでしょう。
交通事故で負傷する可能性が高いケガの一つであるむち打ち(頸椎捻挫)は、約3か月から6か月ほどの治療期間を要するケースが多いです。この期間中、定期的に通院すれば治療費も高額になることが考えられます。
この点、一括対応の利用により治療費が保険会社から支払われるため、金銭面を気にすることなく通院ができるのです。
1-2.請求の対象を一本化できる
交通事故の被害者は本来、加害者側の自賠責保険会社と任意保険会社にそれぞれ損害賠償を請求しなければなりません。しかし、一括対応を受けることで、自賠責保険から支払われる治療費も任意保険会社がまとめて支払います。
そのため、自賠責保険に対して治療費を請求する手間を省くことができます。
1-3.後遺障害の等級認定の申請を依頼できる(事前認定)
治療を受けてもケガが完治せず、何らかの後遺症が残った場合、後遺障害の等級認定を申請することができます。
等級認定を受けると、後遺障害が残ったことに対する慰謝料や逸失利益(事故がなければ将来得られていたはずの利益)も請求できるようになります。しかし、等級認定の申請には、診断書といった数多くの書類を揃えるなど、繁雑な手続きを進めなければなりません。
一括対応を利用している場合、事前認定という方法により等級認定の申請を保険会社に任せることもできます。申請にかかる手続きの負担を軽減できる点もメリットと言えるでしょう。
2.一括対応を利用する流れ
一括対応は、大きく次のような流れで利用することができます。
まず、加害者側の任意保険会社から、一括対応の利用に関して案内があります。保険会社から連絡が来たら、利用したい旨を伝えてください。
次に、保険会社から一括対応の同意書が送付されるため、内容を確認したうえで、署名して返送しましょう。その後、保険会社が病院に対し、被害者の治療費を支払います。
3.一括対応を利用できないケース
交通事故によるケガの治療を受ける場合でも、必ずしも一括対応を利用できるわけではありません。たとえば、次のようなケースでは利用できない可能性があります。
- 加害者が任意保険に加入していない
- 加害者が任意保険の「示談代行サービス」を利用しない
- 過失割合が4割を超えるなど被害者の過失が大きい
- ケガと事故との因果関係が争いになっている
4.一括対応を利用しない場合
一括対応を利用できないケースに該当するだけでなく、加害者側の保険会社の対応に不満があるなどの理由で一括対応を利用したくない人もいるでしょう。一括対応を利用しない場合、治療費は被害者が一時的に立て替えて示談交渉の場面で保険会社に請求することになります。
正確に治療費を請求するには立て替えた金額を把握する必要があるため、病院や薬局で受け取った領収書などはすべて保管しておきましょう。
また、高額な治療費を自己負担するのは大変ですが、通院の期間や頻度は慰謝料などの金額に影響するため、きちんと通院することが大切です。なお、自分の健康保険を利用すれば、治療費の自己負担額を軽減することもできます。
5.一括対応の打ち切りに注意
一括対応を利用して治療を受けている場合、治療の途中で保険会社から「治療費の支払い(一括対応)をそろそろ打ち切る」と打診されるケースがあります。たとえば、むち打ちの場合は治療から3か月ほどで打ち切りを打診されることが多いです。
打ち切りに応じると、保険会社による治療費の支払いがストップするため、治療を終了するか、自己負担により続けることになります。そのため、打ち切りを打診されてもその場では応じずに、まだ治療が必要かどうか通院先の医師に相談しましょう。
治療を継続する必要があると医師が判断した場合、診断書や意見書を作成してもらい保険会社に提出しましょう。保険会社が一括対応を延長してくれる場合があります。
6.一括対応の打ち切りは弁護士に相談
一括対応はあくまでも保険会社のサービスであり、法的な義務ではないので、診断書や意見書の提出だけで延長が認められるとは限りません。そのため、打ち切りを打診された際は、医師だけでなく交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、医師の診断書などにもとづき、治療継続の必要性を具体的に主張、立証してくれるため、一括対応の延長が期待できます。また、慰謝料の増額交渉など、保険会社とのさまざまなやり取りや手続きを任せることが可能です。
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