判例タイムズ [はんれいたいむず]
- 意味
- 裁判例の情報や法律論文などを掲載した法律専門誌です。交通事故の実務では、別冊として刊行された「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」を指すことが一般的で、事故の状況に応じた過失割合を調べる際に参照されます。
- 解説
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0.約80年続く弁護士や裁判官向けの法律専門誌
判例タイムズは、株式会社判例タイムズ社が毎月発行している法律専門誌です。創刊は1948年で、全国の裁判所が下した判決(裁判例)や法律に関する論文や解説などが掲載されており、弁護士や裁判官などの法律実務家が長年にわたって参照してきた歴史ある雑誌です。
判例タイムズには、さまざまな分野を詳細に解説する別冊(別冊判例タイムズ)があり、交通事故でも「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が刊行されています。交通事故の実務で「判例タイムズ」という言葉が出てきた場合、この別冊のことを指しています。
交通事故の別冊判例タイムズは、さまざまな事故態様(事故の状況)をパターン化し、それぞれに定められた基本の過失割合が解説されています。そのため、加害者側から提示された過失割合に納得できないような場面で別冊判例タイムズを参照し、過失割合を確認することがあります。
この別冊判例タイムズは過去に何度も改訂されており、これまで2014年7月に刊行された38号(全訂5版)が用いられてきました。今回、2026年3月に39号(全訂6版)が刊行されました。「自転車同士の事故」が新設されるなど、内容が刷新されています。
別冊判例タイムズから過失割合を確認したい場合、書店や通販サイトなどから購入できます。もしもお近くの図書館に所蔵されていれば、無料で閲覧が可能です。
ただし、弁護士など法律関係者を対象にした専門的な書籍であり、一般の方に向けた内容ではありません。そのため、法律や交通事故に関する知識がなければ、判断を誤ってしまう可能性があります。
過失割合に関する疑問がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
1.過失割合は交通事故に対する責任の割合
過失割合とは、発生した交通事故に対して当事者双方がどれだけの責任(過失)を負うのかをパーセンテージで表したものです。
別冊判例タイムズでは、さまざまな交通事故のパターンごとに、過失割合の目安が図解で整理されています。
信号待ちでの追突事故など、被害者に落ち度のない事故もありますが、速度超過していたなど、被害者側にも何らかの過失があるケースは少なくありません。
被害者に落ち度がない場合、過失割合は「0:100」(被害者が0)となり、被害者にも2割の過失が認められれば、「20:80」(被害者が20)となります。
過失割合は、損害賠償金の計算に直接影響する点で重要な数値です。被害者側に過失が認められると、その割合分が賠償金から差し引かれます(これを「過失相殺」といいます)。
たとえば損害の総額が500万円でも、被害者の過失が20%と認定された場合、受け取れる賠償金は400万円となり、100万円が減額されてしまいます。
このように、過失割合はわずかな数字の違いが賠償金に大きく影響するため、交通事故の示談交渉において重要な争点になります。
2.別冊判例タイムズの基本的な使い方
別冊判例タイムズは、事故のパターンを四輪車同士、単車と四輪車、歩行者と四輪車・単車などに分類し、それぞれに数多くの事故のケースを想定した基本の過失割合が整理されています。
また、同じような事故のケースでも、前方不注意や速度超過、酒気帯び運転など、発生した原因はそれぞれ異なります。このような個別具体的な事情に応じて割合を調整する「修正要素」も掲載されているのが特徴です。
過失割合を把握する際には別冊判例タイムズを参照し、事故のパターンから基本の過失割合を調べたうえで、修正要素を加味しながら判断していくことになります。
3.保険会社が提示する過失割合はあくまで「目安」
交通事故が起きると、加害者側の保険会社から過失割合が提示されます。保険会社は別冊判例タイムズを根拠のひとつとして過失割合を提示してきますが、この提示はあくまで目安にすぎません。
保険会社から「別冊判例タイムズではこの事故のパターンは〇:〇が基準です」と言われると、専門書を根拠にしているため受け入れてしまおうと考える方もいるでしょう。しかし、次のような点に注意が必要です。
- 自分の事故に最も近いパターンが正しく適用されているか
- 被害者側に有利な修正要素が漏れなく反映されているか
これらが適切に考慮されていない場合、本来受け取れるはずの賠償金が減ってしまう可能性があります。もし、提示された過失割合に納得できなければ、保険会社と交渉し、修正を求めることが重要です。
4.過失割合に納得できない場合は弁護士に相談を
相手方の保険会社は交通事故に詳しく交渉のプロなので、専門知識のない状態で対等に交渉するのは難しく、不利な条件で示談してしまうリスクがあります。
また、別冊判例タイムズから正しい過失割合を確認したくても、弁護士や裁判官などを対象にした専門的な書籍なので、適切に判断するのは困難です。
そのため、提示された過失割合に疑問や不満がある場合は、弁護士に相談してください。弁護士に依頼することで、次のようなメリットが期待できます。
- 正確な過失割合に修正され、賠償金の増額が期待できる
- 保険会社が争ってきた場合も、適切な証拠を揃えて反論できる
- 交渉窓口をすべて任せられるため、精神的な負担を軽減できる
また、弁護士が介入することで保険会社の対応が変わり、交渉がスムーズに進むケースも少なくありません。
「提示された過失割合が正しいのか判断できない」「納得できないけど、交渉できる自信がない」といった場合は、まず弁護士にご相談ください。
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