「半月板損傷」とは?交通事故とケガの治療に関する用語

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半月板損傷 [はんげつばんそんしょう]

意味
膝関節にある「半月板」という軟骨組織を損傷することです。治療しても、膝に痛みやしびれがある、関節を動かしにくくなるといった症状が残ると、後遺障害の等級認定を受けられる可能性があります。
解説

0.半月板とは

「半月板」とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある三日月の形(C型)をした軟骨組織です。膝関節の内側と外側の2か所にあり、体重や運動によって膝にかかる衝撃を吸収、軽減するクッションの役割や、関節の位置を安定させる役割があります。

1.半月板損傷の原因

半月板損傷は、バスケットやサッカー、テニスなど、ジャンプや方向転換といった膝への負荷が大きい動作をするスポーツの競技者が発症しやすいケガです。また、加齢によってクッションとしての半月板の機能が衰えてしまい、発症するケースも少なくありません。

交通事故においては、バイクや自転車の乗車中に転倒して膝を強打して関節を無理な方向に捻った際に、半月板が割れたり、亀裂が入ったりすることがあります。損傷の状態により、縦断裂、横断裂、水平断裂、バケツ柄状断裂、弁状断裂、変性断裂などに分類されます。

また、外側半月板よりも、内側半月板の方が多く損傷するといわれています。これは、内側半月板は構造的に脛骨の関節包にしっかりと結び付いているため、外力に対して動きが制限されることから強い負荷がかかり、損傷するリスクが高いからです。

加えて、内側半月板には血管の分布が少ないために血流量が少なく、一度損傷すると自然治癒が難しいという特徴があります。

2.半月板損傷の症状

半月板損傷には、主に次のような症状があります。

  • 膝に痛み(疼痛)やしびれがある
  • 膝を伸ばす際に引っかかるような違和感がある(キャッチング)
  • 膝の関節を動かしにくくなる(可動域制限)
  • 膝が腫れたり、水や血が溜まったりする
  • 損傷した半月板が関節に挟まり、関節を動かせなくなる(ロッキング)

3.半月板損傷の診断

主にMRI検査や、膝関節に内視鏡を挿入する関節鏡検査が実施されます。関節鏡検査では、半月板の損傷状況を直接目視で確認することができます。

なお、軟部組織である半月板はレントゲンに写らないため、基本的にレントゲン撮影は行われません。

また、器具を使わず、関節を動かして診断する次のような検査(徒手検査)が行われることもあります。

マクマレー・テスト
仰向けで膝を腹部に付けるよう最大限に曲げ、膝を内側・外側に回転させることで、痛みや異常音の有無を確認する。
グリンディング・テスト
うつ伏せで膝を90度に曲げ、かかとを下方に押し付けながら回転させることで、痛みの有無を確認する。

4.半月板損傷の治療方法

損傷した半月板の自然治癒は難しいため、治療方法については、保存療法が中心となります。具体的には、ギプスやサポーターなどで関節を固定して安静にし、膝への負担を減らします。

また、痛み止めなどの内服や消炎鎮痛剤の利用により炎症を抑えます。そのうえでリハビリを行っていきます。場合によっては、ステロイドやヒアルロン酸などの注射により、痛みなどの症状を一時的に緩和することもあります。

また、症状が重い場合には手術を行う場合もあります(手術療法)。手術には、機能の改善を目指して半月板を縫合する場合と、機能の改善よりも症状の緩和を図るために半月板を切除する場合があります。

なお、半月板損傷は変形膝関節症につながるケースもあるため、整形外科の主治医によく相談しながら、十分な治療を受けるようにしてください。

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5.半月板損傷による後遺障害

交通事故で半月板損傷になり、治療を続けても症状の改善が見込めないと主治医が判断した場合、後遺障害の等級認定を受けられる可能性があります。後遺障害の等級は1級から14級まであり、障害の内容や程度に応じていずれかに認定されます。

障害の内容は、膝の関節を動かせなくなる、または動かしにくくなる可動域制限(機能障害)と、痛みやしびれなどが残る神経症状の2種類に分類されます。そして、可動域制限の範囲や他覚的所見の有無といった障害の程度により、認められる等級が異なるのです。

5-1.可動域制限がある場合の等級

可動域制限の症状が認められる場合、次の等級認定を受けられる可能性があります。

等級症状の程度
8級7号関節の用を廃した
→膝の関節が全く動かない、または可動域が10%以下に制限されている
10級11号関節の機能に著しい障害を残した
→可動域が2分の1以下に制限されている
12級7号関節の機能に障害を残した
→可動域が3分の4以下に制限されている

5-2.神経症状がある場合の等級

可動域制限がなくても、痛みやしびれなどの神経症状が残った場合、次の等級認定を受けられる可能性があります。

等級症状の程度
12級13号局部に頑固な神経症状を残した
→他覚的所見(画像診断など)によって、症状の存在を医学的に証明できる
14級9号局部に頑固な神経症状を残した
→他覚的所見はないものの、治療経過などから症状の存在を医学的に説明できる

5-3.等級ごとに認められる慰謝料の金額

後遺障害の等級認定を受けると、後遺障害慰謝料を加害者側に請求することができます。後遺傷害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで生じた精神的な苦痛に対する慰謝料のことです。

慰謝料の金額は、認定される等級と計算に用いる算出基準によって次のように異なります。

等級自賠責基準弁護士基準
8級331万円830万円
10級190万円550万円
12級94万円290万円
14級32万円110万円
  • ※2020年4月1日以降に発生した交通事故に適用される金額です。

加害者が加入している任意保険会社に慰謝料を請求する場合、自賠責基準による金額と同程度の金額が提示されるケースが多いです。自賠責基準は、被害者に対する最低限度の補償を目的とした自賠責保険における算出基準で、弁護士基準に対して3分の1以下の金額になる場合もあります。

弁護士基準の慰謝料を獲得するには、保険会社と交渉して増額を認めさせなければなりません。しかし、自分自身で保険会社に増額を求めるよりも、弁護士に相談して交渉を依頼した方がよいでしょう。

保険会社は事故に関する知識や交渉の経験が豊富なので、自身で交渉して増額を認めさせるのは不可能に近いです。そもそも交渉に応じてくれないケースも少なくありません。

この点、弁護士に交渉を任せると、法的に認められる最大限の慰謝料を支払うよう適切に主張してくれるので、弁護士基準の金額まで増額が期待できます。

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