バレ・リュー症候群 [ばれ・りゅーしょうこうぐん]
- 意味
- 交通事故で首に強い衝撃を受け、神経を損傷したことにより現れるさまざまな症状のことです。
- 解説
バレ・リュー症候群は、首のむち打ちが原因で自律神経(主に交感神経)に異常をきたし、頭痛、めまい、耳鳴り、聴力低下、眼精疲労、流涙(りゅうるい)、視力障害、血圧低下、吐き気などのさまざまな症状を引き起こします。
このタイミングは、交通事故に遭った直後よりも、2~4週間経ってから現れることが多いとされています。また、バレ・リュー症候群は、交感神経が過緊張の興奮状態となり、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることから、自律神経失調症の症状と混同されることもあります。
バレ・リュー症候群の検査・治療方法
バレ・リュー症候群の検査では、レントゲン検査やCT、MRIなどの精密検査が行われますが、画像所見による他覚的所見が認められない可能性があります。
そのため、関節可動域検査や神経学的検査(ジャクソンテスト、スパーリングテストなど)などを実施してもらい、診療録(カルテ)に記録を残してもらうことが重要です。
次に、治療では、「交感神経ブロック注射」が中心的に行われます。この治療法では、神経やその周辺に麻酔薬を注射し、交感神経の過緊張や痛みなどを緩和することができます。
治療は整形外科でも可能ですが、痛みや症状が良くならない場合は、主治医と相談のうえ、麻酔科や神経内科、ペインクリニックなどを受診することも検討してください。
継続的な治療を受けることにより、おおよそ3~6ヶ月ほどで、症状が回復するとされています。
バレ・リュー症候群の後遺障害等級
交通事故の損害賠償を加害者側に請求するためには、交通事故の影響により諸症状が発生していると示す必要があります(事故との相当因果関係)。
そのため、バレ・リュー症候群のように、他覚的所見が認められにくい場合は、神経学的検査の結果などの客観的指標を、医師に記録してもらうことがポイントです。治療を継続しても、バレ・リュー症候群の症状が完治しない場合があります。
この場合には、後遺障害の等級認定を申請することができます。バレ・リュー症候群による後遺障害の場合、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)、または、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)に該当する可能性があります。
後遺障害の等級認定は、後遺障害診断書や他覚的所見を示す書類などをもとに行われます。
バレ・リュー症候群は、画像所見が認められにくいことから、後遺障害の等級認定を受けるのが難しい場合があります。この点、前述の通り、画像所見のみならず、神経学的検査を受けることによって、医師の客観的な指標という他覚所見を得ることができます。
そして、その結果を後遺障害診断書へ詳細に記載してもらうことで、等級認定の可能性を高めることができるでしょう。大切なことは、ケガの治療中から、医師に自覚症状を一貫して訴え続け、適切な検査と治療を受け、通院し続けることです。
後遺障害の等級認定を諦める前に、ぜひ弁護士に相談してください。
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