診療明細書 [しんりょうめいさいしょ]
- 意味
- 病院などの医療機関が、すべての患者に対して発行する、診療内容や処方箋薬剤などを記載した明細書のことです。会計時に医療費の領収書と一緒に受領することができます。
- 解説
診療明細書は、傷病名の記載こそありませんが、具体的な診療内容や処方薬の記載があるため、どのような医療行為が行われ、何の薬が処方されたのか確認することができます。
診療明細書と診療報酬明細書の違い
診療明細書とよく似た名称の書類に「診療報酬明細書」がありますが、両者は別の書類です。診療明細書は診療報酬明細書を簡略化したものですが、明細書としての役割が大きく異なっています。
診療報酬明細書は、病院などの医療機関が市区町村や各健康保険組合などの保険者に対して診療報酬の支払いを求める請求書として使用します。
それに対して、診療明細書は、診療内容や処方された調剤内容、それらに伴う保険点数などが記載された患者用の明細書です。診療明細書(サンプル)
出典:厚生労働省のホームページ
交通事故と診療明細書との関係
診療明細書も、診療報酬明細書と同様に、交通事故の損害賠償請求において、非常に重要な資料となります。
たとえば、加害者側の保険会社から治療費を打ち切られた場合や加害者が任意保険に加入していない場合、被害者は治療費を自分で立て替え払いし、後から保険会社に治療費を請求しなければなりません。この請求の際に診療明細書が必要となります。
また、治療費の打ち切りに対して、症状固定時期を争い、治療を継続する必要性や相当性を主張していく場合、具体的な診療内容などの記載がある診療明細書は重要な根拠資料となります。
さらに、治療費の支払いに自身の健康保険を使用し、保険診療の適用を受けながらケガの治療をする場合も同様です。ただし、後遺障害の等級認定申請をする場合は、診療報酬明細書が必要となります。しかし、被害者請求をする際に、病院から診療報酬明細書を取り付けられないことがあります。このような場合は、診療明細書と領収書を添付すれば、自賠責保険会社も被害者請求を受け付けるような取り扱いをしています。
もちろん、診療明細書は、後遺症の内容を立証するための資料としても活用することができます。診療明細書の活用場面
- 治療費を請求する根拠となる(特に健康保険を使用した場合)
- 治療費の打ち切りや症状固定時期を争うための資料となる
- 後遺障害の等級認定申請に役立つ場合がある
以上のように、診療明細書は交通事故の損害賠償請求をする際の重要な資料となりますので、大切に保管しておくようにしてください。
また、弁護士に交通事故の相談や依頼をする際にも、診療明細書があれば、手続きがよりスムーズなものになります。
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