ノーカウント事故 [のーかうんとじこ]
- 意味
- 自動車保険の補償対象となる交通事故について、保険金が支払われたにもかかわらず、保険上は事故件数としてカウントされない事故のことです。
- 解説
0.自動車保険の等級とは
そもそも、自動車保険は、「ノンフリート等級制度」にもとづき、加入者の事故歴に応じた保険料が計算されています。まずはここから説明します。
初めて自動車保険に加入する場合、原則として6等級が適用されます。
そして、加入日から1年間、保険を使った事故がないときは、翌年の等級が1つ上がり、保険料は割引されていきます(最大20等級まで)。しかし、交通事故を起こして他人に怪我を負わせてしまい、対人賠償保険を使った場合は、翌年の等級が3つ下がります(3等級ダウン事故)。
たとえば、15等級の人が、他人に怪我を負わせる事故を起こした場合は、翌年の等級は12等級になります。なお、この場合であっても、「事故あり」の等級となり、同じ等級であっても、無事故の場合と比較すると、保険料は高くなります。
また、事故ありの期間は、交通事故を起こした年の翌年から3年間継続されてしまいますので、注意が必要です(1等級ダウン事故の場合は1年間)。このように、ほとんどの自動車保険では、等級制度が適用されており、交通事故を起こしてしまうと、翌年に等級が下がり、割引率が低くなります。
もちろん、交通事故を起こさなければ、1年ごとに等級は1つずつ上がっていき、保険料が大きく割引されていくことになります。しかし、例外的に、交通事故を起こして保険金を受け取ったとしても、等級が下がらないケースがあります。具体的には、次の場合です。
1.自動車保険上の交通事故の分類
自動車保険の場合、交通事故の分類は、「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類に分けられています。
このうち、ノーカウント事故の対象になる保険を使った場合、等級には影響しません。
種類 内容 3等級ダウン
事故- 他人を死傷させた場合
- 自分または他人の物を損壊した場合
1等級ダウン
事故- 火災や窓ガラスなどの破損
- 盗難・暴力行為・破壊行為
- 自然災害(台風、たつ巻、洪水、高潮)
- 落書き・いたずら
ノーカウント
事故以下のいずれかに関わる交通事故 - 人身傷害保険
- 無保険者事故傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 無過失事故特則
- 車両無過失事故特則
- 弁護士費用特約
- 個人賠償特約
- レンタカー費用特約
- 入院時諸費用特約
- ファミリーバイク特約
- 被害者救済費用等補償特約
2.ノーカウント事故として扱われるケース
交通事故を起こしても、上記の表でまとめた保険や特約を使って、保険金のみ請求する場合は、ノーカウント事故として扱われます。
たとえば、赤信号で停車していたところ、背後から追突され、この事故によってケガを負い、自分が加入している人身傷害保険を使って保険金を受け取ったとします(いわゆる「もらい事故」)。
この場合、保険金を受け取っていますが、自動車保険上の事故としてはカウントされず、ノーカウント事故となります。
そのため、翌年の自動車保険の等級は下がることなく、通常通りに上がりますし、事故あり期間もありません。保険料もこれを理由に上がることはありません。3.ノーカウント事故が認められる理由
自動車保険の目的は、他人に損害を与えてしまうリスクと、自動車という重要な資産を交通事故で損壊させてしまうリスクをカバーすることにあります。
一方、自分や家族、同乗者のケガなどに対する補償(人身傷害保険など)は、自動車保険の本来の目的とは異なる補足的な補償とされています。
そのため、交通事故を起こしても、他人にケガを負わせたり、他人の自動車などを損壊して、対人賠償保険や対物賠償保険などを使わない限りは、自動車保険の等級に影響はないのです。
4.追突事故に遭ったら弁護士に相談
停車中の追突事故のような場合、基本的に被害者に過失割合は付きません。
過失割合が付かないのはよいのですが、この場合は保険会社が示談交渉をすることができないため、被害者自身で交渉しなければなりません。そんな時に役立つのが「弁護士費用特約」です。
この特約を使用して弁護士に依頼すれば、弁護士が被害者の代理人となり、相手方の保険会社と交渉をしてくれます。
また、特約を使うことにより、法律相談料(最大10万円)や弁護士費用(最大300万円)が保険から支払われます(なお、補償上限は保険会社によって異なります)。また、弁護士費用特約を使っても、ノーカウント事故の扱いのため、等級の審査に影響せず、翌年の等級は上がります。
追突事故などで被害者になってしまった場合には、この弁護士費用特約を活用して、交通事故の交渉などを弁護士に相談することをおすすめします。
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