ノンフリート契約 [のんふりーとけいやく]
- 意味
- 自動車保険やバイク保険において、保険契約の対象となる自動車やバイクの台数が9台以下の場合の契約のことです。これに対して、10台以上の契約をフリート契約と呼びます。
- 解説
自動車保険やバイク保険の契約形態には、フリート契約とノンフリート契約という2つのタイプがあります。
個人の自動車保険はノンフリート契約が一般的
保険の取り扱い上、両契約の違いは保険契約の対象となる契約台数です。もし、10台以上の自動車を所有・使用して保険契約をする場合はフリート契約として扱われますし、9台以下であればノンフリート契約として扱われます。
個人で自動車保険やバイク保険に加入する場合、そのほとんどは9台以下でしょうから、通常加入する保険契約はノンフリート契約となります。
逆に、フリート契約は運送業や配達業など法人向けの保険商品となっており、保険会社の中には、フリート契約の自動車保険を販売していないところもあります。
ノンフリート契約かフリート契約かは自動的に決まる
ノンフリート契約かフリート契約かは、保険契約者が自由に選べるものではありません。前述した通り、所有・使用している自動車やバイクの台数が9台以下の場合は、自動的にノンフリート契約となります。
また、10台の自動車を保有しており、このうち5台をA保険会社と契約し、もう5台をB保険会社と契約した場合でも、フリート契約として扱われます。所有・使用している自動車が10台以上であれば、フリート契約になりますので、契約する保険会社を振り分けたとしても意味はありません。
さらに、フリート契約を締結したものの、9台以下に減らした場合は、ノンフリート契約に戻すための手続きを行わなければなりませんし、契約期間中に再び10台以上に戻った場合は、フリート契約を継続することが可能となっています。
「所有・使用する」とは
ところで、自動車を「所有・使用する」とは、どのような場合なのでしょうか。保険実務上の取り扱いは、概ね次の通りです。
- 契約者が所有権を持ち、かつ、自ら使用する自動車
- 契約者が所有権留保条項付売買契約により購入(自動車ローンにより購入)し、かつ、自ら使用する自動車
- 契約者がリース事業者から1年以上を期間とする賃貸借契約により借り入れ、かつ、自ら使用する自動車
ノンフリート契約とフリート契約の違い
ノンフリート契約とフリート契約では、契約形態や保険料の算定方法、交通事故による保険等級への影響などが大きく異なります。
ノンフリート契約では、契約は車両ごとに個別の保険契約を締結します。そして、等級制度については、無事故が続くことにより等級が上がり、保険料が割り引かれるノンフリート等級が適用されます。
保険料の割引率は、運転者の年齢、運転歴、使用目的、事故件数など、車両ごとのリスクにもとづいて算定されます。また、交通事故が発生した場合、ノーカウント事故を除いて、その車両の等級にのみ影響します(他の所有・使用する車両に直接の影響はありません)。
これに対して、フリート契約では、会社単位ですべての車両を一括して契約します。保険未加入のリスクを減らすことができ、効率的な管理ができますが、等級制度は、総契約台数や保険料、また、交通事故による損害に対して実際に支払われた保険金額などにより決定されます。
そのため、交通事故の件数が1回であったとしても、保険金額が大きかった場合には翌年の保険料率が大幅に上がります。つまり、事故の影響が車両全体に及びます。
なお、ノンフリート契約において弁護士費用特約を付帯していた場合、特約を利用しても翌年の保険料率や保険等級に影響しません(いわゆる、ノーカウント事故)。
しかし、フリート契約の場合、実際に支払われた保険金額が算定要素となりますので、付帯していた弁護士費用特約を利用した場合、翌年の保険料が増額する可能性があります。
これらの違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
ノンフリート契約 フリート契約 契約台数 9台以下 10台以上 契約単位 車両1台 契約者単位 保険料 前契約の期間、ノンフリート等級別の保険料率、事故件数などにより決定 総契約台数と保険料、支払われた保険金、前年の割増率などにより決定 最大割引率 63%程度 ※ 80%程度 ※ 年齢条件 最大で35歳まで段階的に年齢条件の設定あり なし 保険証券 各車両台数分 1枚 弁護士費用特約 利用しても翌年の保険料率に影響しない 利用すると翌年の保険料率に影響する - ※保険会社によって異なります。
フリート(fleet)の由来
余談ですが、フリート(fleet)とは、日本語で「船隊」という意味です。そして、ノンフリートとは、「船隊ではない」というような意味になります。
自動車保険やバイク保険は損害保険の一種ですが、損害保険はヨーロッパにおいて海上保険から始まりました。海難事故や海賊の襲撃に備えて、海上輸送している艦隊や積み荷に保険をかけたのです。
やがて、馬車や自動車など会社が事業用に所有・使用する複数の乗り物にも、フリートという言葉が使われるようになりました。自動車保険にフリートという言葉が使われているのには、このような由来があると言われています。
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