無免許運転 [むめんきょうんてん]
- 意味
- 運転免許を受けていない状態や運転する資格(効力)がない状態で、自動車や原動機付自転車を運転することです。3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される重大な違反行為です。
- 解説
- 目次[]
0.無免許運転の代表例
無免許運転は道路交通法で禁止されており、違反した場合は刑事罰の対象となります(道路交通法第64条第1項)。以下のような状態で運転したケースが、無免許運転にあたります。
- 一度も運転免許を取得したことがない状態で運転した
- 更新しておらず免許が失効した状態で運転した
- 免許を取り消された後に運転した
- 免許の効力が停止しているときに運転した
- 免許の種類と異なる車両を運転した(例:原付免許しか持っていないのに普通車を運転した)
1.無免許運転の刑事罰・行政処分
無免許運転をした場合の刑事罰は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(道路交通法第117条の2の2第1号)。行政処分として違反点数25点が加算され、前歴がない場合でも取得している運転免許は取り消しとなります。
さらに「欠格期間」という免許の再取得が認められない期間があります。無免許運転で免許取り消しとなった場合、前歴が0~1回であれば2年間は免許を取得できません。
前歴が2回では3年間、3回以上では4年間と、前歴が多いほど欠格期間は長くなります(道路交通法施行令別表第3の1)。なお、免許取消歴保有者は、欠格期間がさらに延長されます。
免許取消歴保有者とは、以下のいずれかの処分を過去に受けた者を指します。
- 違反行為や重大違反のそそのかしなどを理由とした免許の取り消し・拒否・事後取り消し
- 道路外致死傷を理由とした免許の取り消し・拒否・事後取り消し
- 6か月を超える期間の自動車などの運転禁止
欠格期間が終了した後は改めて教習所に通い、免許を再取得する必要があります。
なお、免許証を携帯せずに運転した場合は、無免許運転ではなく免許不携帯として扱われます(道路交通法第95条第1項)。反則金3,000円が科されますが、違反点数の加算はありません(道路交通法施行令別表第6)。
2.自身が無免許ではなくても違反になるケース
無免許運転で違反になるのは、必ずしも自分が運転したケースだけではありません。無免許と知りながら車を提供したり、同乗したりした場合も違反となる可能性があります。
2-1.無免許運転のおそれがある人に車を渡した
無免許運転のおそれがある人に車両を提供し、その結果、実際に無免許運転が行われた場合も、処罰の対象となります(道路交通法第64条第2項)。
刑事罰は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(同法第117条の2の2第2号)。また、行政処分として違反点数25点が加算され、保有している免許は取り消しとなります。
2-2.無免許運転と知りながら同乗を依頼した
運転者が無免許であることを知りながら、その車両に乗せてもらうよう要求または依頼して同乗した場合も、処罰の対象となります(道路交通法第64条第3項)。
刑事罰は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(同法第117条の3の2第1号)。「無免許運転のおそれがある人に車を渡した場合」と比べると刑事罰は軽いですが、やはり行政処分として違反点数25点が加算され、免許取り消しとなります。
3.無免許運転で交通事故を起こした場合
無免許運転で交通事故を起こした場合、無免許運転の刑事罰・行政処分に加え、交通事故による刑事責任も負うことになります。また、保険の適用にも大きな制限が生じるため、以下で詳しく解説します。
3-1.事故の内容次第で刑事罰が加重される
運転中に人を死傷させた場合、運転上必要な注意を怠ったことによる交通事故であれば「過失運転致死傷罪」が適用され、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となります(自動車運転処罰法第5条)。
ただ、無免許運転で過失運転致死傷罪に該当する死傷事故を起こした場合には刑事罰が加重され、10年以下の拘禁刑となります(同法第6条第4項)。
さらに、以下のような状態で運転して人を死傷させた場合は、さらに刑事罰が重い「危険運転致死傷罪」が適用されます。
- アルコールや薬物の影響で正常な運転ができない
- 制御できないほどのスピードを出している
- 運転技術がない
- あおり運転(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中の車への割り込み、急接近、前方停止など)
- 重大な交通の危険な速度の運転による信号無視、通行禁止道路の進行
負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上20年以下の有期拘禁刑となります(同法2条)。
そして、無免許運転で危険運転致死傷罪に該当する負傷事故を起こした場合も刑事罰が加重され、6か月以上20年以下の有期拘禁刑となります(同法第6条第1項)。
なお、ほかの罪が加重される場合の拘禁刑は、最長で30年まで延長されます(刑法第14条)。
3-2.自分の損害に対する保険は適用されない
無免許運転で事故を起こした場合、運転者本人に対する補償は適用されません。具体的には、以下の保険がいずれも適用外となります。
- 人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険(自分のケガなど)
- 車両保険(自分の車の修理費など)
そのため、自分自身のケガの治療費や車の修理費は、すべて自己負担となります。
4.無免許運転者による交通事故に遭った場合
被害者が適切な賠償を受けられるかどうかは、加害者の自動車保険の加入状況や支払い能力によって大きく異なります。以下では、4つのパターンを想定して解説します。
4-1.任意保険・自賠責保険の両方に加入している場合
加害者が任意保険と自賠責保険の両方に加入していれば、無免許運転による事故であっても被害者救済の観点から保険が適用されます。
具体的には、被害者のケガに対しては自賠責保険や任意保険の対人賠償保険から、車や物の損害に対しては任意保険の対物賠償保険から賠償金が支払われます。
4-2.自賠責保険のみ加入している場合
加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、自賠責保険は対人賠償のみを対象としているため、車や物の損害は補償されません。また、対人賠償についても、以下のように支払限度額が決まっています。
- 傷害(ケガ):最大120万円
- 後遺障害:最大4,000万円
- 死亡:最大3,000万円
ケガの治療費が限度額を超えた場合や物損については、加害者に直接請求することになります。
4-3.無保険の場合
自賠責保険への加入は法律で義務付けられていますが、契約期間切れなどにより、加害者が自賠責保険に加入していないケースがあります。任意保険にも加入していなければ、加害者は無保険の状態で事故を起こしたことになります。
このようなケースでは、被害者自身が加入する自動車保険に人身傷害補償保険が付帯されていれば、自分の保険から補償を受けられる場合があります。
また、政府保障事業(政府の自動車損害賠償保障事業)を利用することで自賠責保険に準じた範囲で、ケガや死亡による損害の補償を受けられます。ただし物損事故は対象外なので、加害者への直接請求が必要です。
もし、自分の車両保険を使って修理した場合は「等級が下がって翌年以降の保険料が上がる」という状況に陥ります。「相手の無免許運転という無責任な行動で、なぜ自分が損をしないといけないのか」などと納得がいかない方は、一度弁護士にご相談ください。
4-4.未成年の場合
無免許運転が高校生などの未成年者によって行われた場合、本人に十分な賠償能力がないことがほとんどでしょう。このようなケースでは、未成年者の親に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。
たとえば、子どもの無免許運転を黙認していたなど、親が未成年者の監督を怠ったことが原因で、無免許運転による事故が発生したのであれば、親は不法行為責任を負うことになります(民法第709条)。
また、親が所有する車両を未成年者が勝手に持ち出して交通事故を起こしたようなケースでは、親が運行供用者責任を負う可能性があります(自動車損害賠償保障法第3条)。
親に対してどのような責任を追及するかを判断するには、法的な専門知識が求められるため、詳しくは弁護士にご相談ください。
5.運転できる自動車の種類
無免許運転は、免許を持っていない場合だけではなく、保有している免許の種類では運転が認められていない車両を運転した場合にも該当します。
運転免許には複数の種類があり、種類によって運転できる車両が異なるため、運転免許の種類と自分の免許で運転できる車両の範囲を把握しておくことが重要です。
また、2017年3月12日より、運転免許に「準中型免許」が加わりました。これにより、同日以降に普通免許を取得した方が運転できる車両の範囲が変わっているため注意が必要です。
たとえば、普通免許しか持っていない人が準中型自動車を運転した場合、無免許運転になります。
以下の表で運転可能な自動車の種類をまとめたので、自分の免許で運転できる自動車を把握しましょう。
自動車
の種類普通
自動車準中型
自動車中型
自動車大型
自動車運転
免許
の種類普通
免許準中型
免許中型
免許大型
免許車両
総重量3.5
トン
未満7.5
トン
未満11.0
トン
未満11.0
トン
以上最大
積載量2.0
トン
未満4.5
トン
未満6.5
トン
未満6.5
トン
以上乗車
定員10人
以下10人
以下29人
以下30人
以上なお、2017年3月12日より前に普通免許を取得した人は、以下のように取得時期によって「5トン限定の準中型免許」または「8トン限定の中型免許」を取得したものとみなされます。
項目 5トン限定 8トン限定 取得
時期2007年6月2日
~
2017年3月11日2007年6月1日
以前免許の
種類準中型免許
(5トン限定)中型免許
(8トン限定)車両
総重量5トン未満 8トン未満 最大
積載量3トン未満 5トン未満 乗車
定員10人以下 10人以下 表に記載された車両総重量・最大積載量・乗車定員のいずれか1つでも上限を超えた車両を運転した場合は、無免許運転となります。
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