ノンフリート等級制度 [のんふりーととうきゅうせいど]
- 意味
- 交通事故歴の有無に応じて翌年度の保険料を割引・割増する自動車保険の制度です。割引率・割増率は全部で20段階の等級に区分され、初めて保険に加入する場合は6等級からスタートします。
- 解説
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0.事故歴の有無で保険料が割引・割増に
自動車保険には、保険料負担の公平性を確保するため、交通事故を起こさなかった人や保険を使わなかった人の保険料を安くする制度が設けられています。逆に事故を起こしてしまうと、保険料が高くなってしまいます。
このように、事故を起こしたことがあるかどうかによって、保険料が上がったり下がったりする仕組みをノンフリート等級制度と呼びます。保険料の割引率・割増率は全部で20段階の等級に区分され、等級の数が大きくなると、保険料の割引率もより大きくなります。
初めて保険に加入契約する場合は6等級から始まり、1年間の契約期間中に無事故だと翌年度に1等級アップして、保険料が割り引かれます。逆に人を死傷させる事故を起こした場合は、翌年度に3等級ダウンして、保険料が割り増しされます。
ただし、事故を起こしたからといって、必ずしも3等級ダウンするわけではありません。事故の内容によっては1等級ダウンする場合もあれば、事故に遭って保険を使っても等級がダウンしないケースもあります(ノーカウント事故)。
なお、ノンフリート等級制度は契約者が所有・使用する車の契約台数が9台以下の場合に適用されます(ノンフリート契約)。10台以上の車を所有・使用している場合、「フリート契約」という別の契約となります。
また、2台目以降の自動車について新たに保険を契約する際、6等級ではなく7等級からスタートする「セカンドカー割引」が適用される場合があります。
1.各等級の割引率・割増率
ノンフリート等級制度では、20段階の各等級に対して次のような割引率・割増率が設定されています。ただし、保険会社によって数値が異なる可能性があるため、詳細は保険会社に確認しましょう。
等級 無事故係数 事故有係数 20等級 -63% -51% 19等級 -57% -50% 18等級 -56% -46% 17等級 -55% -44% 16等級 -54% -32% 15等級 -53% -28% 14等級 -52% -25% 13等級 -51% -24% 12等級 -50% -22% 11等級 -48% -20% 10等級 -46% -19% 9等級 -44% -18% 8等級 -38% -15% 7F等級 -27% -14% 6F等級 -13% 5等級 -2% 4等級 +7% 3等級 +38% 2等級 +63% 1等級 +108% - ※出典:損害保険料率算出機構
- ※割引率・割増率は変更される場合があります。
- ※6F等級と7F等級は前年度から契約を継続した場合に適用される等級です。
2.割引率に関係する無事故係数・事故有係数
6F等級より上位の等級は「無事故係数」と「事故有係数」に分類され、同じ等級でも割引率が異なります。そして、一定期間内に交通事故を起こしたことがあれば事故有係数の割引率、事故を起こしていなければ無事故係数の割引率が適用されます。
また、事故有係数には一定の適用期間が設けられており、3等級ダウンの事故を起こしたら3年間、1等級ダウンの事故なら1年間です。事故有係数の適用期間中に、等級がダウンする事故を再び起こした場合、最長6年間を限度に適用期間が延長されます。
たとえば、無事故係数が適用されている18等級の人が3等級ダウンの事故を起こすと、翌年度は15等級となり、事故有係数が3年間適用されます。3年間の適用期間中に無事故であれば、4年後に18等級に戻り、無事故係数が適用されます。
無事故係数が適用されている18等級の人が3等級ダウンの事故を起こし、翌年に再び3等級ダウンの事故を起こしてしまったケースも見てみましょう。18等級から15等級にダウンした翌年度に12等級まで下がり、さらに適用期間も3年延長されるため、事故有係数が合計で6年間適用されることになります。
3.事故を起こしても等級がダウンしないケース
等級がダウンする交通事故は「3等級ダウン事故」と「1等級ダウン事故」の2種類に分類されます。3等級ダウン事故は他人を死傷させる事故、自分または他人の物を損壊した事故などが該当します。
1等級ダウン事故は主に偶発的な事故の場合です。たとえば、火災や爆発、災害(台風、竜巻、洪水など)、盗難、落書き、いたずらなどを原因とする事故が該当します。
一方、次のような保険や特約を使って保険金のみ請求するケースでは、事故に遭っても等級が下がらないノーカウント事故として扱われます。
- 人身傷害保険
- 弁護士費用特約
- 無保険者事故傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 無過失事故特則
- 車両無過失事故特則
- 個人賠償特約
- レンタカー費用特約
- 入院時諸費用特約
- ファミリーバイク特約
- 被害者救済費用等補償特約
たとえば、赤信号で停車中の追突事故によりケガを負い、自分が加入している人身傷害保険を使って保険金を受け取ったようなケースです。保険を使って保険金を受け取っていますが、ノーカウント事故となります。
この事故とは別に等級がダウンする事故を起こさなければ、翌年度に等級が上がり、等級に応じて保険料が引き下げられます。
また、交通事故の被害を受け、弁護士費用特約を使って弁護士に相談したり、相手方との交渉などを依頼したりした場合も、ノーカウント事故となります。弁護士費用特約に加入していれば、弁護士への相談や依頼にかかる弁護士費用が保険から支払われるため、ぜひ利用することをおすすめします。
4.ノンフリート等級は引継ぎが可能
ノンフリート等級は保険会社を乗り換える場合や、保険を解約して再加入するような際に、これまでの等級を引き継ぐことができます。また、家族間で等級を引き継ぐことができるケースもあります。
4-1.保険会社を乗り換える際の引継ぎ
加入中の保険会社から他社の保険に乗り換える際、保険の満期日の翌日から7日以内に手続きをすれば、現在の等級を引き継ぐことが可能です。この期限を過ぎてしまうと、高い等級で大幅な割引率が適用されていても、改めて保険を加入すると6等級からのスタートとなります。
なお、一部の共済は乗り換えによる引継ぎの対象外なので注意しましょう。
一方、5等級以下の場合、あえて7日以内に手続きしないことで、6等級からやり直せると考える人もいるかもしれません。この点、13か月間は等級の履歴が保存されるため、13カ月以内に手続きをすると等級が引き継がれることになるのです。
4-2.保険に再加入する際の引継ぎ
自動車が不要な地域に転勤し、長期間にわたって運転する予定がないなどの理由で、一時的に保険を解約したいと考える人もいるでしょう。そのような場合は、解約の翌日から7日以内に「中断証明書」を保険会社に発行してもらうことで、10年以内に再契約すれば等級の引継ぎが可能です。
中断証明書を発行するための条件が保険会社によって異なる場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
4-3.家族間での引継ぎ
自身の保険を解約して、家族が新たに加入する際、自身の等級を家族に引き継ぐことができるケースがあります。ただし、家族であれば誰にでも引継ぎができるわけではなく、次に該当する人が対象です。
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の同居親族
- 記名被保険者の配偶者の同居親族
配偶者を除き、別居中の親族については等級の引継ぎができません。なお、「親族」とは、6親等内の血族、または3親等内の姻族を意味します。
引継ぎの一例として、20等級の親が保険を解約し、新車を購入した同居中の子どもが保険に加入するケースで考えてみましょう。子どもは通常であれば6等級からスタートしますが、親の等級を引き継ぐことで20等級が適用されます。
また、親が保険に再加入すると親は6等級戻りますが、「セカンドカー割引」を利用することで7等級からスタートできる場合もあります。
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