物損事故 [ぶっそんじこ]
- 意味
- 交通事故により自動車などの車両や積荷、所持品といった物が壊れたり、傷ついたりしたものの、死傷者がいなかった事故のことです。
- 解説
物損事故の被害に遭った場合、壊れた物の修理代や、自動車の修理中に代車を利用した際の代車費用などを加害者側に請求できます。
また、実際には事故でケガしたのに軽傷にとどまったため、警察が物損事故として処理したり、加害者側から「物損事故として処理したい」と頼まれたりするケースがあります。
物損事故として処理されてしまうと、治療費や慰謝料を請求しても認められない可能性があるため、人身事故に切り替えることが重要です。
物損事故と人身事故の違い
物損事故と人身事故には、主に次のような違いがあります。
物損事故 人身事故 自賠責保険 適用外 適用対象 行政処分
(免許の点数)加算されない 加算される 刑事処分 対象外 対象 実況見分調書 作成されない
(物件事故報告書を作成)作成される 慰謝料の請求 原則不可 可 損害賠償請求権の
消滅時効(短期)被害者が損害および加害者を知った時から3年
(民法第724条1号)被害者が損害および加害者を知った時から5年
(民法第724条の2)損害賠償請求権を
受働債権とする相殺悪意のある場合は可
(民法第509条)不可
(民法第509条2号)物損事故で請求できる賠償金の内容
物損事故の加害者に対しては、自動車の修理費用などを損害賠償金として請求できます。
なお、請求できる項目として主に次のような費用があります。修理費用 修理可能な場合、修理費用を請求できます。
ただし、事故当時の車両の時価額が上限となります。買い替え費用 修理不能の場合、車両の買い替え費用を請求できます。
ただし、事故当時の車両の時価額が上限となります。代車費用 自動車の修理や買い替えにより、修理期間中や買い替えまでにレンタカーを使う場合、代車費用を請求できます。 評価損 修理により市場価値が減少してしまった分を「評価損」と呼び、加害者側に請求できます。 休車損害 タクシーやバスなどの営業車が事故で破損した場合、得ることができなくなった利益を損害として請求できます。 レッカー代 自走が困難になり、車両を移動させるためにレッカー車を使用した場合、レッカー代を請求できます。 積荷などの損害 トラックに積まれていた荷物や、車内にあったパソコンやスマートフォン、身に付けていた衣類やメガネなどを破損した場合、修理費用や事故当時の評価額を請求できます。 登録手続関係費 自動車の買い替えが必要になった場合、買い替えのために発生した自動車取得税や車庫証明費用、廃車費用などの諸費用を請求できます。 物損事故も弁護士にご相談を
物損事故では様々な費用を請求できますが、保険会社は支払い額を抑えるため、低い金額を算出するケースが少なくありません。
適切な金額を算出して保険会社に請求するには、法的な専門知識と交渉力、経験値などが求められるため、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。物損事故は慰謝料が発生しない分、人身事故よりも賠償額が低額になることが多く、弁護士費用を支払うことで金銭的に損してしまう「費用倒れ」が発生する可能性があります。
しかし、自動車保険や火災保険の特約として「弁護士費用特約」を付けていれば、弁護士費用が保険から支払われるため、費用倒れの心配がありません。繰り返しになりますが、実際はケガをしたのに、物損事故として処理されている場合、治療費や慰謝料を請求しても認められない可能性があるため、人身事故に切り替えることが大切です。
人身事故への切り替えには様々な手続きが必要になるので、弁護士に相談しましょう。なお、物損事故で請求できる損害や、物損事故から人身事故に切り替える手続きについて、下記のQ&Aでより詳細に解説しております。ぜひこちらもお役立てください。
交通事故のよくあるご相談Q&A:修理費用
物損事故では、どのような損害を請求できますか?
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