運転免許
交通事故で免許停止(免停)になりました。どのくらいで解除されますか?
過去3年間で違反点数の累計が6点~14点になると、点数に応じて30日から90日間の免許停止となります。過去3年以内に免許停止や取消処分を受けた前歴があると、より低い点数で長期間の停止処分となります。
0.違反点数の加算により免許停止の処分を受ける
日本の運転免許には点数制度があり、交通事故や交通違反があると、事故の態様や違反の内容などに応じて設定された違反点数が加算されます。
違反点数が一定基準を超えると、免許停止の処分を受けることになります。
重大な事故や違反により、高い違反点数が加算された場合は、免許停止ではなく、免許取消処分の対象となります。
免許停止は停止期間が経過すれば再び運転できますが、免許取消は取消期間(欠格期間)の経過後、改めて免許を取得しなければ再び運転ができません。
1.停止期間は30日間から180日間
運転免許が停止される期間は基本的に30~90日間です。
ただし、過去3年間に免許停止や取消処分を受けている(前歴がある)場合、停止期間は最長で180日間となります。
2.前歴がなければ6点で免許停止に
過去3年間で違反点数の累計が6点~14点になると、免許停止の処分を受けます。違反点数の累積が15点以上の場合は、免許取消の処分となります。
過去3年間に前歴がある場合、より低い点数で免許が停止されます。具体的には、前歴が1回だと4点、2回以上の前歴があると2点で免許停止です。
3.免許停止の処分となる点数と期間
免許停止の処分となる点数と停止期間は、次の表の通りに整理できます。 前歴が多くなると、より低い点数で長期間の停止処分を受けます。
4.一定期間の無事故・無違反で違反点数がゼロに
違反点数はずっと累積され続けるわけではありません。1年にわたって無事故・無違反なら、違反点数は0点になります。
また、2年以上にわたって無事故・無違反の場合、3点以下の違反をしても、その後3か月間、無事故・無違反なら点数が0点にリセットされます。
5.免許停止となる点数を超えると免停通知書が届く
免許停止となる基準を超える違反点数が加算されると、いわゆる「免停通知書」が送られてきます。
免停通知書は2種類あり、停止期間が30日または60日だと「出頭通知書」、90日以上または取消処分だと「意見の聴取通知書」が届きます。
5-1.出頭通知書が届いた場合
出頭通知書には出頭しなければならない日時や場所などが記載されています。
記載内容に従って出頭すると、免許証を返納して停止期間の満了日まで運転することができなくなります。
なお、出頭通知書は「出頭要請通知書」や「行政処分出頭通知書」、「呼出通知書」などと呼ばれる場合もあります。
5-2.意見の聴取通知書が届いた場合
意見の聴取通知書には、意見聴取が行われる日時や場所などが記載されています。
意見聴取では、違反した理由や処分に対する意見などが尋ねられます。
理由を説明したり、証拠を提出したりすることができ、その結果、処分の軽減や免除が認められる可能性があります。
6.免許停止に納得できない場合の対応
違反行為はなかったのに処分を受けた、違反内容に対して処分が重すぎるなど、免許停止の処分に納得できない場合もあるでしょう。
停止期間が90日以上であれば、意見聴取の機会が設けられますが、必ずしも聞き入れられて、処分の軽減や免除が認められるわけではありません。
免許停止の処分に不満がある場合は、「審査請求」や「取消訴訟」という手続きにより、処分の見直しや取消しを求めることができます。
6-1.審査請求
処分を行なった都道府県の公安委員会に対し、処分の内容が適切かどうか、改めて判断するよう求める手続きです。
処分を受けたことを知った日の翌日から3か月以内に、公安委員会へ審査請求書を提出することで申し立てることができます。
6-2.取消訴訟
意見聴取や審査請求は、処分の内容を決める公安委員会などに対する手続きですが、取消訴訟は第三者である裁判所が処分の妥当性を判断する手続きです。
訴訟を提起するために、審査請求から行う必要はありません。
審査請求と同時並行で訴訟を提起してもよいですし、いきなり訴訟を起こすことも可能です。
なお、訴訟の提起にも期限があり、停止処分や裁決があったことを知った日の翌日から6か月以内、または、処分や裁決があった日から1年以内です。
7.免許停止処分者講習の受講で停止期間が短縮
処分を受け入れて免許停止の期間がスタートした後、免許停止処分者講習を受講して考査(試験)を受けると、成績によって停止期間が短縮されます。
たとえば、停止期間が30日間で、考査が最も良い成績(優)だと、29日間の短縮が認められ、停止処分を受けた翌日から運転できる可能性もあります。
講習には、免停の期間によって短期(1日間・6時間)、中期(2日間・10時間)、長期(2日間・12時間)の3種類があります。
講習の主な内容は、適性検査や講義、シミュレーターや実車による指導などです。
講習の概要は次の通りです。
- この記事を監修した弁護士
弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。