交通事故を起こした時の運転免許の違反点数や処分内容を弁護士が解説

交通事故のよくあるご相談Q&A(FAQ)

運転免許

Q.uestion

交通事故を起こしました。運転免許の違反点数は何点になりますか?

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
Answer

交通事故や交通違反の際に加算される違反点数は、事故態様や違反内容などにもとづき設定されています。違反点数が一定基準を超えると、運転免許の停止や取消しといったペナルティを受けます。

0.交通事故を起こすと違反点数が加算される

運転免許には点数制度が導入されており、交通事故を起こしたり、交通違反をしたりした場合、事故の態様や違反の内容などにもとづいて設定された違反点数が加算されます。
そして、過去3年間の合計点数(累積点数)が一定基準を超えると、運転免許の停止や取消しといったペナルティを受けることになります。

1.違反点数は2種類ある

まず、違反点数は大きく次の2種類に分けられます。

  • 基礎点数
  • 付加点数

1-1.基礎点数とは

酒気帯び運転や信号無視、速度違反など、さまざまな違反行為に対して設定された点数です。

そして、基礎点数の対象となる違反行為は、「特定違反行為」「一般違反行為」の2種類に分けられます。
特に悪質・危険な違反行為が「特定違反行為」で、そのほかの違反行為が「一般違反行為」です。

一般違法行為の一例と、それぞれに設定された基礎点数は次の通りです。

一般違反行為点数
酒気帯び運転(0.25mg以上/呼気1リットル)25
酒気帯び運転(0.25mg未満/呼気1リットル)13
過労運転等25
無車検・無保険運行6
横断歩行者等妨害等2
信号無視2
通行禁止違反2
速度違反50㎞以上12
速度違反30㎞(高速40㎞)以上50㎞未満6
速度違反25㎞以上30㎞(高速40㎞)未満3
速度違反20㎞以上25㎞未満2
速度違反20㎞未満1

上記以外にも、一時不停止(2点)や座席ベルト装着義務違反(1点)など、さまざまな違反行為に対して違反点数が設定されています。

特定違反行為の内容と基礎点数は次の通りです。

特定違反行為点数
運転殺人等62
運転傷害等45~55
危険運転致死62
危険運転致傷45~55
酒酔い運転35
麻薬等運転35
妨害運転(著しい交通の危険)35
救護義務違反35

人を死傷させる危険な運転、酒や麻薬の影響などで正常に運転できない状態での運転などが特定違反行為に該当し、一般違反行為に比べて多くの違反点数が加算されます。
また、あおり運転(妨害運転)やひき逃げ(救護義務違反)も特定違反行為の対象です。

1-2.付加点数とは

交通事故により被害者が死傷した場合や建造物を損壊したケースを対象に、先ほどの基礎点数に加算される点数です。
付加点数は、被害の程度(被害者の治療期間)や違反者の不注意の有無などによって、次のように決められています。

被害の程度
(被害者の治療期間)
もっぱら違反者の
不注意による事故
その他の事故
死亡事故2013
3か月以上または後遺障害139
30日以上3か月未満96
30日未満15日以上64
15日未満または建造物の損壊32

このほか、当て逃げ(危険防止等措置義務違反)をした場合に5点の付加点数が加算されます。

2.物損事故の違反点数は?

交通事故による死傷者はいないものの、相手方の車両など何らかの物を破損させた物損事故を起こした場合、原則として違反点数は加算されません。
ただし、事故の態様や原因、被害の程度によっては加算される可能性があります。具体的には次のようなケースです。

  • 当て逃げをした
  • 建造物を損壊した

また、酒酔い運転や酒気帯び運転、速度違反といった違反行為が原因で物損事故を起こした場合、それぞれの違反行為に設定された点数が加算される可能性があります。

2-1.当て逃げをした

当て逃げとは、物損事故を起こしたにもかかわらず、事故車両を移動させるなどの危険防止措置を講じたり、警察に報告したりするといった義務を怠り、事故現場から逃げることです。
当て逃げをした場合、次の点数が加算される可能性があります。

  • 安全運転義務違反:2点(基礎点数)
  • 物損事故に対する危険防止措置義務違反:5点(付加点数)

免許停止になる点数については後ほど詳しく説明しますが、7点の違反点数が加算されると免許停止の対象となってしまいます。
軽くぶつけてしまったというケースでも、きちんと警察に報告しましょう。

2-2.建造物を損壊した

交通事故により住宅やビルなどの建造物を損壊してしまった場合も、違反点数が加算されます。なお、ガードレールや標識などは建造物とはみなされません。

建造物を損壊した場合、次の点数が加算される可能性があります。

  • 安全運転義務違反:2点(基礎点数)
  • 建造物損壊事故:2点または3点(付加点数)

建造物損壊事故に対する付加点数については、不注意の程度が大きい場合は3点、小さい場合は2点となります。

3.運転免許が停止・取消しになる点数

過去3年間で加算された違反点数が一定数を超えた場合、免許停止の処分を受け、点数に応じて30日~180日間、運転することができなくなります。
また、より多くの違反点数が加算された場合は、免許が取消されてしまいます。

免許の停止と取消しには、次のような違いがあります。

免許停止処分
停止期間が終われば、再び運転することができるようになる。
免許取消処分
一定の欠格期間の経過後、改めて免許を取得しなければ、再び運転することはできない。

免許の停止や取消しとなる点数、停止期間や欠格期間の長さは、過去3年間に停止や取消しなどの処分を受けたか(前歴があるか)どうかで異なります。
前歴がある場合、前歴がない人に比べてより低い点数で停止や取消しの処分を受け、停止期間や欠格期間も長くなるのです。

3-1.免許停止になる点数と停止期間

免許停止処分となる点数と停止期間は次の通りです。

免許が停止される点数と期間の表。前歴がない場合は6~8点で30日間、1回なら4~5点で60日、2回なら2点で90日、3回なら2点で120日、4回以上なら2点で150日間の停止となる。

3-2.免許取消しになる点数と期間

免許が取消される点数と欠格期間は、一般違反行為によって取消された場合と、特定違反行為によって取消された場合で異なります。

また、「免許取消歴保有者」に該当する場合、欠格期間がさらに長くなってしまいます。
免許取消歴保有者とは、違反行為などによって免許の取消しや拒否、事後取消し、6か月を超える期間の自動車などの運転禁止といった処分を受けた人のことです。

一般違反行為による免許取消しの点数と欠格期間は次の通りです。

一般違反行為による免許取消しの点数と欠格期間の表。欠格期間は1年~最長5年。前歴がない場合は15点、1回なら10点、2回なら5点、3回以上なら4点以上で取り消し処分に該当する。免許取消歴保有者の場合、欠格期間は3年から開始する。

特定違反行為による免許取消しの点数と欠格期間は次の通りです。

特定違反行為による免許取消しの点数と欠格期間の表。欠格期間は3年~最長10年で35点から対象となり、5点増えるごとに1年加算される。欠格期間は前歴なしで3年から始まり、1回で4年、2回で5年、3回以上で6年となる。免許取消歴保有者の場合は、前歴無しでも5年から始まり、1回で6年、2回で7年、3回以上で8年となる。

4.一定期間の無事故・無違反で違反点数がリセットされる

違反点数は、1年にわたって無事故・無違反の場合、0点にリセットされます。
また、2年以上にわたって無事故・無違反だった場合は、3点以下の違反をしても、その後3か月間、無事故・無違反であれば点数がリセットされます。

5.違反点数の確認方法

これまでにどのような交通違反をして、何点が加算されているかについては、「運転記録証明書」「累積点数等証明書」という書類から確認ができます。
これらの書類には、処分を受けた回数や違反の内容、点数などが記載されています。

書類の入手方法としては、まず、警察署や交番、各都道府県の自動車安全運転センターに備え付けられた証明書の申込用紙に必要事項を記入します。
そして、最寄りのゆうちょ銀行や郵便局、センターの窓口で手数料(670円)を支払うことで書類の発行を申請します。

また、インターネットやスマートフォンの専用アプリから申請することも可能です。
書類の申請方法については、自動車安全運転センターのホームページで詳しく解説されています。

6.免許停止・取消しとなる点数が加算された後の流れ

あと1点で免許停止になるなど、累積点数が免許停止の基準に近づくと、注意喚起を目的とする「累積点数通知書」が自動車安全運転センターから送られてくる場合があります。

そして、違反点数が免許停止や取消しとなる基準を超えると、次のいずれかの書類が送られてきます。

  • 出頭通知書(呼出通知書)
  • 意見の聴取通知書

6-1.出頭通知書が届いた場合

出頭通知書とは、免許の停止期間が30日間、または60日間の場合に送られてくる書類です。
「出頭要請通知書」や「行政処分出頭通知書」、「呼出通知書」などと呼ばれる場合もあります。

出頭通知書には出頭しなければならない日時や場所が記載されています。
出頭すると免許証を返納し、停止期間の満了日まで運転することができなくなります。

指定された日時に出頭できない場合、事前に連絡することで出頭日の変更が認められます。

6-2.意見の聴取通知書が届いた場合

意見の聴取通知書とは、免許の停止期間が90日以上、または免許取消しとなった場合に送られてくる書類です。
意見の聴取が行われる日時や場所が記載されています。

意見聴取の当日は、違反した理由や処分に対する意見などを尋ねられ、理由の説明や証拠の提出などが認められます。
その結果、処分が軽減されたり、免除されたりする可能性があります。

意見聴取には、本人ではなく弁護士などの代理人が出席したり、弁護士に同席してもらったりすることができます。
なお、出頭通知書が送られてきた場合と異なり、原則として日時の変更ができないため、指定日に出席できない場合は代理人に出席を依頼しましょう。

6-3.通知書を無視した場合

出頭通知書や意見の聴取通知書に記載された日時や場所に従い、処分を受けることで、免許停止や取消しの処分がスタートします。
通知書を受け取ったにもかかわらず処分を受けないままでいると、違反点数は残り続けますし、処分の対象からはずれることもありません。

もし、処分を受けていないことが発覚したり、処分を受けていない状態でさらに違反点数が加算されたりした場合、より厳しい処分を受けることになります。
通知書を受け取ったら、必ず従うようにしましょう。

特に意見の聴取通知書を受け取った場合は、弁護士に代理人としての出席や同席を依頼することができます。
処分の内容に納得ができなければ、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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