交通事故を起こした場合の運転免許の点数や罰金などを弁護士が解説

交通事故のよくあるご相談Q&A(FAQ)

運転免許

Q.uestion

交通事故を起こした場合、運転免許の点数や罰金はどうなりますか?

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
Answer

交通事故を起こすと、違反点数が加算され、点数が一定の基準を超えた場合に免許が取消されたり停止されたりします。また、損害賠償などの民事責任や刑事責任も負います。

0.交通事故の加害者になった場合の3つの責任

交通事故を起こしてしまった場合、次の3つの責任に問われます。
順番に解説していきましょう。

  • 行政責任
  • 刑事責任
  • 民事責任

1.交通事故の行政責任とは

交通事故や交通違反に対しては点数制度が導入されており、事故の態様や違反の内容などにもとづいて設定された違反点数が加算されます。

そして、過去3年間の合計点数(累積点数)が一定程度を超えると、運転免許の停止や取消しといった処分を受けることになります。
さらには、反則金の支払いが科せられることもあります。

1-1.違反点数には「基礎点数」と「付加点数」がある

違反点数には、それぞれの違反行為に設定された「基礎点数」があります。
基礎点数の違反行為は、特に悪質・危険な「特定違反行為」(35点~62点)と、そのほかの「一般違法行為」(1点~25点)に分けられます。

さらに、人を死傷させたり、建造物を損壊したりした場合は、被害の程度や加害者の責任の程度に応じた「付加点数」が、基礎点数に上乗せされます。

ただし、違反点数は、1年間無事故・無違反だと0点にリセットされます。
また、2年以上にわたり無事故・無違反だった場合は、3点以下の違反をしても、その後3か月間無事故・無違反であれば、点数がリセットされます。

違反点数に関する詳しい解説は、こちらのQ&Aにまとめておりますので、あわせてお役立てください。

1-2.免許が停止・取消しになる可能性がある

過去3年間で加算された違反点数が一定数を超えると、免許停止の処分を受け、点数に応じて30日~180日間、運転ができなくなります。
また、より多くの違反点数が加算された場合は、免許が取消されます。

免許停止処分
停止期間が終われば、再び運転することができます。
免許取消処分
一定の欠格期間の経過後、改めて免許を取得しなければ、再び運転することはできません。

免許の停止や取消しとなる点数、停止期間や欠格期間の長さは、過去3年間に停止や取消しなどの行政処分を受けたこと(前歴)があるかどうかで変わります。
前歴がある場合、前歴がない人に比べ、より低い点数で停止や取消しの処分を受け、期間も長くなるのです。

免許の停止や取消しに関する詳細は、こちらのQ&Aにまとめておりますので、あわせてご覧ください。

1-3.反則金を支払う場合もある

交通事故や交通違反に対して、支払わなければならない違反金の1つです。
類似の違反金として「罰金」がありますが、罰金が刑事罰なのに対し、反則金は行政処分なので、支払っても前科は付きません。

反則金は「交通違反通告制度」にもとづく処分であり、比較的軽微な交通違反に適用されます。そして、反則金を納付することで、刑事処分を受けることなく事件が処理されます。

しかし、人を死傷させるなど、重大な事故の場合は、反則金ではなく刑事処分の対象になるケースがあります。
また、反則金を支払わない場合も、刑事処分になる可能性があります。

2.交通事故の刑事責任とは

交通事故の中でも人身事故を起こした場合、事故が刑事事件として扱われる可能性があります。
刑事事件になると、逮捕されて長期間にわたって身柄が拘束されたり、起訴されて有罪判決を受けた結果、罰金刑や禁固刑、懲役刑を受けたりする可能性があります。

刑事事件になるケースとしては、たとえば、わき見運転といった不注意(過失)によって事故を起こし、被害者を死傷させた場合の過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法第5条)などがあります。

また、死傷者が発生しなくても、自動車の走行を妨害する「あおり運転」をした場合や、他人の建造物を壊した場合も、刑事事件になるおそれがあります。

刑事事件になった場合、弁護士に依頼することで、被害者との示談成立による早期の身柄解放や不起訴の獲得、刑罰の減軽などが期待できます。
刑事事件を弁護士に依頼するメリットについては、次のQ&Aで丁寧に解説していますので、こちらもご参照ください。

3.交通事故の民事責任とは

交通事故の加害者は、被害者に発生した損害を賠償する責任を負います。

被害者がケガをしたり死亡したりした場合は、治療費や慰謝料、休業損害、後遺障害や死亡による逸失利益などを支払わなければなりません。
また、被害者の自動車や所持品が壊れた場合、修理費用や買替え費用、代車やレッカー車の使用料などを支払うことになります。

加害者が任意保険に加入していると、被害者との示談交渉や損害賠償金の支払いなどは、保険会社が対応してくれます。
任意保険に未加入で自賠責保険しか加入していない場合、以下の限度額の範囲で自賠責保険から保険金が支払われます。

被害者がケガをした120万円
被害者が死亡した3,000万円
被害者に後遺障害が残った(等級に応じて)75万円~4,000万円

自賠責保険の限度額を超える損害が被害者に発生すれば、超えた分は加害者が支払わなければなりません。

このようなケースでは、加害者が被害者と示談金額などを交渉することになりますが、加害者への怒りや悲しみで、被害者が交渉に応じないかもしれません。
交渉に応じてもらえたとしても、不当に高額な示談金を請求され、示談が成立しない可能性もあります。

この点、弁護士に被害者との示談交渉を依頼することで、弁護士が加害者に代わって交渉するので、被害者との冷静な話し合いが可能です。
また、弁護士は法律と交渉の専門家なので、適切な金額で示談が成立することが期待できます。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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