過失割合
交通事故の過失割合とは何ですか?
交通事故の当事者間に発生した交通事故の責任(過失)の割合を示すものです。慰謝料など賠償金の算定に大きな影響を与える要素となります。
0.交通事故の過失割合の表し方
過失割合とは、発生した交通事故における、加害者と被害者の責任の度合いを表した割合のことです。
たとえば、加害者に100%責任がある事故の場合は、「100:0」(加害者:被害者)などと表します。
また、被害者にも20%の責任が認められる場合は、「80:20」(加害者:被害者)などと表します。
このように、交通事故の発生状況やその原因などにより、過失割合が変わるところに注意が必要です。
1. 基本の過失割合は決められている
交通事故の基本的な過失割合は、「赤い本」や「別冊 判例タイムズ」といった書籍にまとめられています。
これは、過去に発生した交通事故に関する裁判の積み重ねにより、事故の発生状況ごとに過失割合を類型化したものです。
たとえば、優先道路ではない信号機のある交差点で車同士の事故が起きた場合、基本の過失割合は、次のようになります。
「別冊 判例タイムズ」には、上記のようなケース以外にも、数百数類におよぶさまざまなケースを想定した基本の過失割合が掲載されています。
これらを参照しながら、実際に発生した交通事故の事故態様と個別具体的な事情(修正要素)を考慮して、過失割合を決めていきます。
たとえば、著しい過失(前方不注意、15キロ以上30キロ未満の速度違反、酒気帯び運転など)や、重過失(30キロ以上の速度超過、酒酔い運転、無免許運転など)の有無などを判断して、最終的な過失割合が判断されていきます。
具体的には、[事例3]において、Bがわき見運転をしていたために赤信号を無視したと認められる場合は、45:55(A:B)と過失割合が修正されることになります。
2.過失割合によって賠償金額が変わる
交通事故の被害に遭うと、被害者は加害者側に治療費や慰謝料などの損害賠償を請求することができます。
しかし、被害者にも過失が認められるような場合は、その過失割合に応じて、賠償金額が減額されてしまいます。これを「過失相殺」といいます。
そして、過失相殺の計算方法は次の通りです。
全損害額×(100%-自分の過失割合)
たとえば、被害者の全損害額が1,000万円で、過失割合が20%認められた場合を想定してみましょう。
この場合、加害者が負担すべき損害額は、全損害額の80%となり、賠償額は800万円となります。
そのため、被害者が最終的に受け取れる賠償金は、総額の1,000万円から20%減額された800万円となってしまいます。
このように、たとえ被害者であっても、過失が認められてしまえば、最終的に受け取れる賠償金額が減額されてしまいますので、示談交渉の際には、正しい過失割合にもとづくことが重要なのです。
3.過失割合に納得できないときは
弁護士に相談
交通事故の過失割合は、加害者の保険会社から提示されることが一般的です。
そのため、提示を受けたら、正しい過失割合であるかどうかを慎重に判断する必要があります。
しかし、被害者の方が自分で判断をしようと思っても、過失割合の判断には>専門的な知識と経験が必要なため、適切な過失割合を求めるのは難しいです。
また、保険会社に対して過失割合の見直しを主張しても、取り合ってもらえなかったり、対等に交渉したりすることは困難です。
この点、交通事故に詳しく経験豊富な弁護士であれば、さまざまな事例の取り扱い実績から、専門的な知識に裏付けされた正しい過失割合を求めることができますし、保険会社と対等以上に交渉することができます。
「交通事故の過失割合が適切かどうかわからない」「自分の過失割合が高いのはおかしい」といったような場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。
- この記事を監修した弁護士
弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。