交通事故の葬儀費用として認められる金額や内容を弁護士が解説

交通事故のよくあるご相談Q&A(FAQ)

死亡事故

Q.uestion

葬儀費用として、どれくらいの金額が認められるのでしょうか?

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
Answer

葬儀費用の計算方法として3種類の基準があり、最も高額となる弁護士基準では150万円までの請求が認められます。なお、事情によっては150万円を超える請求が認められる可能性もあります。

0.葬儀関係費として認められる費用と認められない費用

残念ながら交通事故で被害者が亡くなられた場合、遺族などが葬儀を執り行なった際にかかった費用を、葬儀関係費用として加害者側に請求できます。

葬儀にはさまざまな費用がかかりますが、すべての費用について請求が認められるわけではありません。
葬儀関係費用として請求が認められる主な費用は次の通りです。

  • 葬儀費用
  • 遺体の処置、遺体搬送費用
  • 火葬費用
  • 四十九日までの法要の費用
  • お布施・読経・戒名料
  • 仏壇・仏具購入費用
  • 墓碑建立費用

一方で次のような費用は、基本的に請求が認められません。

  • 香典返し
  • 弔問客の接待費や交通費
  • 四十九日を超える法要の費用

香典返しについては、請求が認められない代わりに、葬儀関係費用を加害者側に請求する際、受け取った香典を差し引いて計算する必要がありません。

1.葬儀関係費用の計算に使う3種類の基準

傷害慰謝料(入通院慰謝料)や休業損害など、交通事故の賠償金を計算する際、次の3種類の基準が使われます。

自賠責基準
自賠責保険から損害賠償を受ける場合の計算方法となる基準
任意保険基準
任意保険会社が独自に定めた自社の支払い基準
弁護士基準(裁判所基準)
交通事故に関する過去の裁判で認められてきた賠償金額にもとづいた基準

葬儀関係費用を計算する際も、この3種類の基準を使用します。
そして、どの基準を使うかによって、請求が認められる金額の上限が大きく異なります。

1-1.自賠責基準

自賠責保険は、交通事故の被害者に対する最低限の補償を目的とする保険なので、3種類の基準の中で金額が最も低くなります。
具体的には、100万円までが葬儀関係費用として認められます。

なお、2020年3月31日以前に発生した事故の場合、請求できるのは原則として60万円までです。
資料などから費用が60万円を超えることを証明できれば、100万円までが認められます。

1-2.任意保険基準

示談交渉の場で、加害者側の任意保険会社から提示される賠償金の金額は、任意保険基準をもとにしていることが一般的です。
各保険会社が独自に定めた支払い基準をベースにしているため、具体的な金額は非公開ですが、自賠責基準と同程度か、やや高い金額であることが大半です。

1-3.弁護士基準

3種類の中で最も高額な基準です。弁護士に依頼した場合、弁護士は弁護士基準から算出した金額をもとに、保険会社と交渉します。

弁護士基準で認められる金額は、原則として150万円までです。

被害者や遺族の社会的地位などによって葬儀関係費用の金額は異なりますが、格差を認めると不公平が生じてしまいます。
そのため、請求できる葬儀関係費用の上限が定められています。

なお、葬儀関係費用が150万円を下回った場合、認められるのは実際に支払った金額までです。

弁護士基準は自賠責基準と任意保険基準より多く請求できる図

2.例外的に150万円を超える葬儀関係費が認められた事例

弁護士基準で認められる葬儀関係費用は原則として150万円までですが、150万円よりも高額な請求が認められるケースもあります。
さまざまな事情が考慮された結果、150万円以上の葬儀関係費用が認められた裁判例をご紹介します。

2-1.園芸店を長年営んでいた被害者の葬儀が大規模に行われた事例

園芸店を長年にわたり営んでいた被害者の葬儀が大規模に行われ、250万円の葬儀費用が認められた事例です(横浜地裁判決令和元年9月26日)。

被害者は顧客をはじめとして多くの人々に慕われていたため、参列者が300人を超えるほどの大規模な葬儀が執り行われました。
この点を踏まえ、裁判所は「葬儀費用としての損害は250万円の範囲で認めるのが相当」と判断しました。

2-2.街頭指導活動中の事故で高額な葬儀費用が支出された事例

交通安全協会役員として歩行者の街頭指導活動を行なっていた最中、歩道に乗り上げてきた自動車に衝突されて被害者が死亡した事例です(さいたま地裁判決平成24年1月31日)。

裁判所は、県警が被害者を警察協力殉職者として取り扱っており、そのため恥ずかしからぬ葬儀を営む必要があったと推認されるなどとして、250万円の葬儀費用を認めました。

2-3.事故が起きた単身赴任先と被害者の地元で葬儀が行われた事例

事故が起きた単身赴任先と被害者の地元の2か所で葬儀が行われ、葬儀費用として200万円が認められた事例です(大阪地裁判決平成28年10月26日)。

この事例では、遺体の運搬費用が高額になるなどの理由から、事故が起きた単身赴任先で葬儀が行われました。
しかし、単身赴任先が地元から遠方で、勤務先の関係者が参列できなかったことから、被害者の地元でも改めて葬儀が行われました。

裁判所は、2か所で葬儀が行われたことにやむを得ない事情があったとして、200万円の葬儀費用を認めました。

3.遺体搬送費用などは別の費用として認められるケースがある

遺体の処置や搬送費用、仏壇・仏具の購入費用、墓碑の建立費用などは、葬儀関係費用ではなく、別の費用として扱われるケースがあります。
つまり、葬儀の費用だけで弁護士基準の原則的な上限である150万円を超えても、別途請求が認められる場合があるのです。

裁判例でも、葬儀などの費用として150万円を認めたほか、9万7,200円の遺体搬送費用を別途認めた事例があります(東京裁判決平成31年3月6日)。
遺体を病院から自宅まで運んだケースで、裁判所は、遺体搬送費用は葬儀費用などとは性質が異なると判断しました。

4.葬儀関係費用の示談交渉は弁護士にご相談を

加害者側の保険会社から提示された葬儀費用の金額に納得できない場合、自分で示談交渉に臨み、葬儀関係費用の増額を求めることそれ自体は不可能ではありません。
しかし、保険会社は交通事故と交渉の専門家であり、知識や経験が豊富なので、成功する可能性は非常に低いです。

また、弁護士などの専門家が相手でなければ、そもそも交渉に応じようとしないケースも少なくありません。
そのため、保険会社との示談交渉は、交通事故に詳しい弁護士に依頼することが重要です。

弁護士であれば、弁護士基準で算出した金額まで増額するよう、証拠を示しながら法的に主張するため、保険会社の提示額から増額が期待できます。
特に、150万円を超える葬儀関係費用を請求したい場合は、考慮すべき事情の主張や立証が求められるため、弁護士の支援が必須といえます。

弁護士法人プロテクトスタンスは、交通事故でケガをしたケースはもちろん、死亡事故についても経験豊富な弁護士が在籍しております。
どうぞ安心してご相談ください。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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