交通事故により逮捕された後の刑事手続きの流れや対応を弁護士が解説

交通事故のよくあるご相談Q&A(FAQ)

刑事事件

Q.uestion

交通事故を起こして逮捕されました。今後、手続きはどのように進みますか?

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
Answer

逮捕されると最長で23日間かけて警察や検察官による捜査、取り調べが行われ、起訴されるかどうかが決まります。被疑者の身柄拘束が不要と検察が判断した場合は、釈放され在宅事件として手続きが進みます。

0.交通事故の加害者は逮捕される可能性がある

交通事故の加害者になると、被害者の状況や違反内容などによっては、事故が刑事事件として扱われ、逮捕されてしまう場合があります。
特に、次のようなケースでは逮捕される可能性が高いと考えられます。

  • 被害者が重体になったり死亡したりするなど、大きな被害が発生した
  • 飲酒運転や大幅なスピード超過など、危険性が高く悪質な違反があった
  • 逃亡や証拠隠滅をする危険性が高いと警察に判断された

事故を起こして逮捕された場合、主に次のような流れで手続きが進んでいきます。

逮捕されると警察と検察官により取り調べの後に在宅事件か勾留請求をされます。それから検察官が起訴・略式起訴・不起訴のいずれかの処分を決定します。起訴されると刑事裁判にかけられ、略式起訴になると罰金・科料の納付を言い渡されます。

1.警察が最長48時間の取り調べを行う

交通事故を起こして逮捕されると、警察署などに設置された留置場に身柄が拘束され、警察による取り調べを受けることになります。
警察は最長で48時間かけて取り調べを行い、事件を検察官に引き継ぐ(送致する)かどうかを決定します。

被害が軽微だったようなケースでは、警察の判断で検察官への送致が行われず、事件を終了させる場合があります(微罪処分)
微罪処分となった場合は、罰金などの刑罰が科されたり、前科がつくことはありません。

2.検察官が最長24時間の取り調べを行う

検察官に事件が送致される(送検される)と、検察官が取り調べを行います。
検察官の取り調べは最長24時間で、加害者(被疑者)を起訴するかどうかを決定します。

3.必要に応じて検察官が裁判官に勾留請求する

検察官が、24時間の取り調べで起訴するかどうかを決定できない場合、被疑者の身柄を引き続き拘束(勾留)するため、裁判官に勾留を請求します。
勾留が許可された場合、原則として10日間最長で20日間、身柄が拘束されることになります。

勾留する必要はないと検察が判断した場合や、裁判官が勾留を認めなかった場合、被疑者の身柄が釈放され「在宅事件」として手続きが進みます。
在宅事件になると被疑者は自宅に帰ることなどができますが、検察官に呼び出されて取り調べを受けるなど、引き続き捜査に協力する必要があります。

4.検察官が起訴や不起訴などの処分を決定する

取り調べが終わると、検察官が被疑者に対する処分を決定します。
処分の内容には、次の3種類があります。

  • 起訴
  • 略式起訴
  • 不起訴

4-1.起訴とは

取り調べの結果、被疑者に刑罰を科す必要があると判断した場合に刑事裁判を開くよう検察官が裁判所に求めることです。
起訴をする場合、被疑者の氏名や事件の内容、罪名などが記載された起訴状を検察官が裁判所に提出します。

4-2.略式起訴とは

通常の裁判を行うのではなく、書面の審理のみで刑罰を言い渡す簡易な裁判手続き(略式裁判)を行うよう、裁判所に求めることです。
略式裁判は100万円以下の罰金または科料に相当する事件が対象で、懲役刑の対象となるような事件では行われません。

なお、略式裁判は検察官が請求したうえで、被疑者の同意がなければ行われません。被疑者が略式裁判に同意しなければ、通常の裁判が行われます。

4-3.不起訴とは

起訴をしないこと、つまり、裁判所に刑事裁判を開くよう求めないと検察官が決定することです。不起訴になると、刑事裁判は開かれませんし、前科がつくこともありません。

不起訴になる可能性がある主なケースとして次の3つがあります。

  • 嫌疑なし:罪を犯した疑い(嫌疑)がない
  • 嫌疑不十分:嫌疑はあるものの証拠が十分ではない
  • 起訴猶予:嫌疑はあるものの検察官の判断で起訴しない

このうち起訴猶予は、被害の内容や被疑者の年齢、性格、境遇、反省の有無など、さまざまな事情を考慮して決められます。
被害者との間で示談が成立しているかどうかも、重要な事情のひとつです。

5.刑事裁判が開かれ有罪か無罪かが決まる

検察官が起訴すると、1か月から2か月ほどで第1回目の刑事裁判が開かれることが一般的です。
刑事裁判では、加害者(被告人)が有罪か無罪か、有罪の場合は刑罰の内容が決められます。

被告人が有罪になると、懲役刑や罰金刑といった刑罰が科されるだけでなく、前科がついたことが警察や検察、市区町村に記録として保存されます。
前科がつくと、次のようなデメリットがあります。

  • 就職や転職活動で不利になる可能性がある
  • 職場を解雇される可能性がある
  • 再犯をしてしまった場合に刑罰が重くなる可能性がある

6.交通事故で逮捕されたらすぐ弁護士に相談を

交通事故が刑事事件となり、逮捕されてしまった場合、すぐ弁護士に相談することをおすすめします。
家族や友人、知人が逮捕されたことを知った場合も、逮捕された本人に代わって相談した方がよいでしょう。

逮捕されると、検察官が勾留請求するかどうかを決めるまでに最長で72時間(3日間)にわたって取り調べが行われます。
そして、この間に被疑者と会える(接見)できるのは、原則として弁護士だけです。

逮捕後3日間の取り調べによって、今後の手続きが不利になる可能性もあるため、弁護士に相談してアドバイスを受けることが重要です。
また、弁護士に依頼することで、被害者との交渉を迅速に進めて示談の成立を目指してくれます。

もし、逮捕された人が任意保険に加入していれば、保険会社の被害者との交渉を任せることも可能です。ただし、保険会社が交渉を進めることは必ずしも適切とは言えないので注意しましょう。

保険会社が示談交渉を開始するのは、基本的に被害者の治療が終わってからです。被害者が大ケガを負い、後遺障害が残ったような場合は、治療が長期化するため、示談の成立や示談金の支払いまで数年かかる場合もあり得ます。

また、保険会社はあくまでも民事上の責任として、被害者に発生した損害を賠償するために交渉することも理解しておきましょう。
この点、弁護士であれば、刑事事件も踏まえて加害者が反省していることを伝え、被害者から許し(宥恕:ゆうじょ)を得ることを念頭に示談交渉を進めます。

そして、被害者の許しを得て示談が成立したことを警察や検察官に説明するため、次のようなメリットが期待できるのです。

  • 勾留を回避できる、勾留されても早期に身柄が解放される
  • 不起訴処分を獲得し、前科がつくのを回避できる
  • 有罪になっても、執行猶予処分など刑罰が軽減される

弁護士法人プロテクトスタンスでは、土日祝日や夜間(平日は21時まで、土日祝日は19時まで)ご相談を受け付けております。
ご依頼いただいた後は、接見や示談などをスピーディに行いますので、安心してご連絡ください。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

交通事故でお困りの方へ どのようなことで
お悩みですか?

弁護士の先生
弁護士 堀向良介弁護士 金岡紗矢香

交通事故強い弁護士 あなたの交渉をサポートいたします。

交通事故に関するご相談は何度でも無料。
まずはお気軽にお問い合わせください。

通話料無料 /
0120-915-464 受付時間:平日 9時-21時/土日祝は19時まで
電話で相談する
メールからもご相談の予約ができます。 無料相談を予約する

交通事故に関するご相談は何度でも無料
まずはお気軽にお問い合わせください。

通話料無料
全 国 対 応
通話料
無 料
0120-915-464 受付時間:平日 9時-21時/土日祝は19時まで
メールからも受付中
無料相談を予約する
ページトップに戻る