ライプニッツ係数とは?交通事故の後遺障害に関する用語

やさしい交通事故の用語集

ライプニッツ係数 [らいぷにっつけいすう]

意味
将来にわたって得られたはずの利益を、損害賠償金として前倒しで一度に受け取るために、発生する利息を控除する際に使う指数です。交通事故では、主に逸失利益を計算する際に使用します。
解説

0.逸失利益の計算にライプニッツ係数を使う理由

交通事故の被害に遭うと、治療費や慰謝料などを加害者に請求することができます。

また、被害者が死亡したり、後遺障害が残ったことで、収入が途絶えたり、減少した場合、事故がなければ得られるはずだった利益を「逸失利益」として請求することもできます。
そして、逸失利益を計算する際に使用するのが「ライプニッツ係数」です。

たとえば、67歳まで働くはずだった人が、40歳で事故に遭って完全に働けなくなった場合、事故により27年分の収入が得られなくなったことになります。しかし、27年かけて収入を得るのではなく、逸失利益として一度に前倒しで受け取ると、本来より早くそのお金を運用できるようになります。

運用においては、利息という形式で利益が発生するため、逸失利益は利息を差し引いて計算することになっています。
この利息を差し引いて計算することを1「中間利息控除」と呼び、ライプニッツ係数は控除するために使われる指数です。

1.ライプニッツ係数のほかに「ホフマン係数」もある

控除するために使われる指数としてライプニッツ係数のほかに「ホフマン係数(新ホフマン係数)」があります。
実は、利息の計算方法には複利と単利の2種類があり、ライプニッツ係数は複利で計算し、ホフマン係数は単利で計算するための指数です。

ホフマン係数を用いて計算した方が、被害者が受け取れる金額は大きくなりますが、実務上はライプニッツ係数を用いることが一般的です。

2.後遺障害逸失利益の計算方法

逸失利益の計算方法は、被害者が死亡したか、後遺障害が残ったかによって異なります。
後遺障害が残ったケースを例にすると、次のように計算します。

後遺障害の逸失利益=基礎収入(年間収入額) ✕ 労働能力喪失率 ✕ 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

2-1.基礎収入とは

原則として事故当時の年収です。
被害者が会社員の場合、事故の前年の源泉徴収票に記載された年収額、自営業者や個人事業主は前年度の申告所得金額から算出された金額になります。

また、収入のない専業主婦や学生にも逸失利益が認められる場合があり、厚生労働省の統計結果「賃金センサス」の平均賃金から基礎収入を算出します。

2-2.労働能力喪失率とは

後遺障害が残ったことでどの程度、働くことができなくなったかを示す度合です。
後遺障害は症状の程度によって第1級~第14級の等級(要介護は第1級・第2級)が定められており、労働能力喪失率は等級に応じて5~100%となっています。

2-3.就労可能年数に対応するライプニッツ係数とは

就労可能年数は、原則として症状固定となったときの年齢から67歳までの期間です。
ただし、被害者が学生の場合は18歳もしくは大学卒業時から67歳までとしたり、55歳以上の場合は平均余命年数の2分の1としたりするなど、期間の算出方法が異なる場合があります。

そして、ライプニッツ係数は症状固定となったときの年齢と、就労可能年数によって決まります。
また、法律で定められた法定利率である年3%をもとに算出します(民法第404条)。

就労可能年数に対応するライプニッツ係数の具体的な計算式は次の通りです。

1年の場合:1÷1.03≒0.971
2年の場合:{1÷1.03}+{1÷(1.03×1.03)}≒1.913
3年の場合:{1÷1.03}+{1÷(1.03×1.03}+{1÷(1.03×1.03×1.03)}≒2.829

たとえば、症状固定の年齢が50歳で、就労可能年数が17年の場合のライプニッツ係数は13.166です。

3.後遺障害の逸失利益の計算例

たとえば、年収500万円の人が、50歳で第8級の後遺障害に認定されたケースを例に、逸失利益を計算してみましょう。
基礎収入は500万円、後遺障害第8級の労働の能力喪失率は45%、就労可能年数(67歳-50歳=17年)に対応するライプニッツ係数は13.166なので、逸失利益は次の通りとなります。

500万 ✕ 0.45 ✕ 13.166 = 2,962万3,500円

4.ライプニッツ係数は見直される可能性がある

労働能力喪失率と、年齢と就労可能年数に応じたライプニッツ係数は、国土交通省のホームページから確認できます。

また、ライプニッツ係数の算出に用いる法定利率は、これまで年5%とされていましたが、法改正により2020年4月1日から年3%に引き下げられました。
今後も3年に1度の頻度で見直されることとなっているので、利率が変更になれば、ライプニッツ係数も変更される可能性があります。

5.交通事故の損害賠償金は弁護士にご相談を

交通事故により、治療後に何らかの症状が残ったとしても、交通事故に関する専門知識がなければ、症状に対して適切な後遺障害の等級に認定されなかったり、そもそも認定を受けられない可能性もあります。
また、加害者側の保険会社から提示される慰謝料は、法的に認められる金額よりも低額なことが一般的です。

症状に応じた後遺障害の等級認定を受け、適切な慰謝料や逸失利益を受け取るためにも、交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。

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