「加害者請求」とは?交通事故と損害賠償に関する法律用語

やさしい交通事故の用語集

加害者請求 [かがいしゃせいきゅう]

意味

加害者や加害者側の任意保険会社が、被害者に賠償金を支払った後、自賠責保険から補償される金額を自賠責保険会社に請求する手続きです。

解説

0.自賠責保険への請求方法には2種類ある

被害者請求と加害者請求の関係図

自賠責保険とは、すべての自動車やバイク(二輪自動車)、原動機付自転車(原付)に加入が義務付けられている強制保険です。
自賠責保険に加入していることで、加害者が任意保険に未加入の場合や、資力が乏しい場合でも、交通事故で負傷した被害者は最低限の補償を受けられます。

そして、自賠責保険会社に損害賠償金を請求する方法は、「加害者請求」と「被害者請求」の2種類に分けられます。
それぞれ、自賠責保険に請求する人と、請求できるタイミングが異なります。

請求する人請求できるタイミング
加害者請求加害者が請求する示談が成立したら請求できる
被害者請求被害者が請求する示談の成立前でも請求できる

1.加害者請求とは

交通事故の加害者、または加害者側の任意保険会社が、被害者に損害賠償金を支払った後、自賠責保険から補償される金額を自賠責保険会社に請求する手続きです。

加害者が任意保険に加入している場合、自賠責保険から支払われる分も立て替えるような形で、任意保険会社が一括して被害者に支払うため「一括対応」とも呼ばれています。

本来、被害者は、まず加害者の自賠責保険に損害賠償金を請求し、自賠責保険から支払われる上限額を超えた分を任意保険に請求することが原則です。
しかし、自賠責保険と任意保険にそれぞれ請求するのは被害者にとって大きな負担なので、一括対応により任意保険に請求するだけで賠償金を受け取ることができます。

2.被害者請求とは

被害者自身が、自賠責保険に損害賠償金を直接請求する手続きです。

加害者が任意保険に未加入の場合、加害者に請求することもできますが、加害者に資力がなければ十分な補償を受けられない可能性があります。
そのため、このようなケースでは被害者請求を行い、自賠責保険から補償を受けることをおすすめします。

また、被害者の過失割合が大きい場合、任意保険会社が一括対応を拒否するケースが少なくありません。
一括対応を拒否されたら、治療費を自己負担したうえで、示談が成立してから任意保険に請求することになります。

この点、被害者請求であれば、示談の成立前に賠償金を請求できます。
治療費の負担が苦しいような場合や、示談の成立を待たずに少しでも早く賠償金を受け取りたいような場合は、被害者請求を行なってもよいでしょう。

3.後遺障害の手続きにも加害者請求と被害者請求がある

交通事故のケガにより何らかの後遺症が残った場合、後遺障害の等級認定を受けることで、後遺障害に対する慰謝料や逸失利益などの賠償金が支払われます。
そして、後遺障害の等級認定の申請手続きについても、加害者請求と被害者請求があります。

3-1.後遺障害に関する加害者請求

後遺障害について加害者請求をすると、等級認定の申請手続きを加害者側の保険会社に任せることができます。
加害者側の保険会社が手続きを進めることを「事前認定」と呼びます。

等級認定の申請手続きでは、数多くの必要書類を作成したり、収集したりしなければなりません。
この点、手続きを保険会社に任せられる事前認定なら、認定を受けるまでの負担を大きく減らせることができるでしょう。

3-2.後遺障害に関する被害者請求

後遺障害についても被害者請求をすれば、自賠責保険の上限額の範囲内で後遺障害に関する賠償金を、示談の成立前でも受け取ることができます。
また、保険会社の対応などに不満があり、事前認定で手続きを任せても適切な等級に認定されるか不安がある場合に、被害者請求を検討してもよいでしょう。

ただし、被害者請求は等級認定の申請手続きを自分で進める必要があり、必要書類の収集や作成などに非常に手間がかかります。
手続きにミスがあると適切な等級に認定されない場合や、認定を受けられない可能性もあるので、不安な場合は交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。

4.自賠責保険から支払われる上限額

自賠責保険は、被害者がケガをした場合や、後遺障害が残った場合、死亡した場合に損害賠償金を請求することができます。
そして、自賠責保険から支払われる金額には、次のような上限額が決められています。

ケガ120万円
後遺障害75万円~4,000万円
死亡3,000万円

後遺障害が残った場合の賠償金については、症状の程度に応じた等級によって金額が決められています。

なお、被害者が信号無視をして交通事故に遭ったなど、加害者に責任や過失(不注意)がまったくない場合は、賠償金の請求が認められません。
また、ケガはなかったものの、自動車や所持品などが壊れたような物損事故は対象外なので、修理費用や買い替え費用などを請求しても、やはり認められません。

5.加害者請求と被害者請求の判断は弁護士に相談を

加害者請求と被害者請求のどちらを選択した方がよいかを判断する際には、示談交渉の進め方に関する経験値や法的な専門知識が求められます。

特に、後遺障害が残った場合は、認定された等級によって損害賠償金額が大きく異なるため、より適切な判断が必要になります。
賠償金額で損をしてしまうことがないよう、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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