交通事故紛争処理センター [こうつうじこふんそうしょりせんたー]
- 意味
- ADR(裁判外紛争解決手続)の一種で、交通事故の被害者と加害者側の保険会社との間に立ち、中立公正な立場から紛争の解決をサポートする機関です。略して、「紛セン」や「紛セ」とも呼ばれます。
- 解説
交通事故の被害に遭った場合、まずは交渉を通じて加害者側に損害賠償を請求することが一般的です。そして、交渉がまとまらなければ調停や訴訟といった裁判上の手続きに進みます。
この点、交通事故紛争処理センターは、交渉がまとまらなかった場合に裁判上の手続きではない方法で紛争解決を目指すことができます。訴訟と比べると、より短期間での解決を目指せる、無料で利用できるといったメリットがあります。
交通事故紛争処理センターで利用可能な手続き
交通事故紛争処理センターでは、次のような手続きを利用できます。なお、手続きはいずれも無料です。
- 法律相談
- 交通事故紛争処理センターの相談担当弁護士が相談に応じ、問題点の整理や助言などをしてくれる
- 和解あっ旋
- 相談担当弁護士が中立公正な立場から、交通事故の被害者と加害者側の保険会社から主張を聞き、和解に向けた解決策(和解案)を提案する
- 審査手続
- 法学者や元裁判官、弁護士の3名で構成する審査会が、被害者と保険会社から争点の説明や主張を聞き、紛争解決に向けた解決策を提示して裁定を行う
交通事故紛争処理センターの手続きは原則として法律相談だけでは終わらず、次の和解あっ旋に進みます。和解あっ旋で提示された和解案に被害者と保険会社が合意すれば、和解成立となり手続きが終了となります。
相談担当弁護士が和解成立の見込みがないと判断した場合は、和解が不調となった旨が被害者と保険会社に通知されます。被害者や保険会社が申し立てると、次の審査手続へと進んでいきます。
審査手続で裁定が行われ、裁定の告知から14日以内に被害者が同意すると示談が成立します。保険会社は裁定の内容を尊重することになっているため、被害者が同意すれば示談成立となります。
被害者が裁定の内容に同意しない場合、交通事故紛争処理センターでの手続きが終了し、訴訟などの手続きに移行していきます。
交通事故紛争処理センターのメリット・デメリット
交通事故紛争処理センターを利用することには、次のようなメリットがあります。
- 裁判上の手続きに比べて費用や解決までの時間がかからない
- 保険会社に対し、交通事故や示談交渉の知識や経験の差を埋められる
- 審査会による裁定の内容に対し、被害者は従う必要がない
一方で、メリットだけでなく次のようなデメリットがあることに注意が必要です。
- 手続きの利用に手間や時間がかかる場合がある
- 手続きが始まったら交通事故紛争処理センターまで出向く必要がある
- あくまでも中立公正な立場なので、必ずしも被害者の味方ではない
- 自転車事故や後遺障害に関する争いなど、手続きを利用できない場合がある
交通事故のお悩みはまず弁護士に相談
損害賠償金を巡って加害者側の保険会社と争いになっているなど、交通事故に関するトラブルはまず弁護士に相談することをおすすめします。交通事故紛争処理センターはあくまでも中立公正な立場から紛争解決を目指す機関なので、必ずしも被害者の味方になってくれるとは限らないからです。
この点、交通事故に強い法律事務所の弁護士であれば、少しでも高額な賠償金を獲得することを念頭に保険会社との示談交渉を進めます。もし、交渉がまとまらない場合は、交通事故紛争処理センターの利用や、裁判上の手続きなど、依頼者の状況に応じた最善の解決策を提案します。
弁護士法人プロテクトスタンスでは、交通事故に関する数多くのご依頼をお受けしてきました。保険会社との交渉はもちろん、交通事故紛争処理センターの利用や裁判上の手続きに関する経験と実績も豊富なので、安心してお任せいただけます。
- 関連する用語
- 紛セン[ふんせん]
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