保険会社から症状固定と言われた場合の対応方法を弁護士が解説

交通事故のよくあるご相談Q&A(FAQ)

症状固定

Q.uestion

保険会社から症状固定と言われた場合、どうしたらよいですか?

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
Answer

本来、症状固定の時期は主治医が判断するものです。保険会社から症状固定を打診された場合、すぐに応じるのではなく、まずは弁護士や医師に相談してください。

0.症状固定とは

交通事故でケガをして、病院やクリニックなどの医療機関で治療を受けたとしても、必ず治癒するとは限らず、何らかの症状が残ってしまうケースがあります。

このような、治療を継続しても効果が望めず、症状の改善が見込めなくなる状態が「症状固定」です。そして、症状固定となった日を、「症状固定日」と呼びます。

1.保険会社はなぜ、症状固定を打診するのか

交通事故によるケガの治療を受け始めてから一定期間が経過すると、加害者側の保険会社から「そろそろ症状固定です」などと言われることがあります。
たとえば、交通事故によって発生することが多いケガのひとつであるむち打ちでは、治療開始から3か月ほどで症状固定を打診されるケースが多いようです。

保険会社が症状固定を打診してくる理由は、被害者に支払う金額を少しでも抑えたいと考えているからです。
たとえば、被害者がケガの治療を受けた場合、保険会社は治療費や通院交通費、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、治療のために仕事を休んだら休業損害などを被害者に支払います。

そして、これらのお金が支払われるのは症状固定日までです。
症状固定となった後に何らかの後遺症が残っていれば、被害者は後遺障害の等級認定を申請し、後遺障害慰謝料や逸失利益などを請求することになります。

症状固定日を境に損害の種類が変わる図。症状固定前は治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料など傷害部分が、症状固定後は後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、将来介護費など後遺障害部分が請求できる。

つまり、症状固定日が早ければ早いほど、保険会社は治療費の支払いなども早期に打ち切ることができるので、症状固定を打診するのです。

2.保険会社が症状固定を打診する目安「DMK136」

保険会社は、平均的なケガの治療期間に到達するころに、症状固定を打診してくることが一般的です。
そして、交通事故で負傷することが多いケガについて、保険会社が考えているといわれている平均的な治療期間の目安を、「DMK136」と表現することがあります。

平均的な治療期間の目安「DMK136」
ケガの種類治療期間の目安
D = 打撲 1か月
M = むち打ち 3か月
K = 骨折6か月

また、「DMK136」という目安だけでなく、治療の状況なども踏まえて、症状固定を打診することもあります。
たとえば、次のような状況になると、症状固定を打診される可能性が高いです。

  • 症状の一進一退が続いているように見える
  • マッサージや湿布を貼るだけなど治療が簡単な内容になっている
  • 通院頻度が少なくなっている

3.保険会社から症状固定と言われた場合の対応

症状固定となるまでに必要な治療期間は、ケガの程度などによって異なるため、本来は保険会社ではなく、実際に治療している医師が判断するべきものです。
そのため、症状固定を打診されても、保険会社の言うとおりに症状固定にする必要はありません。

症状固定を打診されてもすぐに応じるのではなく、次のようなポイントについて医師に相談しましょう。

  • まだ治療を継続する必要があるか
  • 後遺障害の等級認定に必要な治療期間が経過しているか

3-1.まだ治療を継続する必要があるか

保険会社から症状固定を打診されたら、まだ治療を継続するべきかどうか、医師に相談しましょう。

保険会社は平均的な治療期間を目安に症状固定を打診することが一般的です。
そのため、まだケガの治癒や症状の改善が見込めるのであれば、症状固定の打診には応じず、治療費の支払い継続を求めたうえで、治療を続けましょう。

また、治療期間によって慰謝料や休業損害などの損害賠償金の金額が決まるという点も、保険会社からの症状固定の打診に、安易に応じてはいけない大きな理由です。

交通事故によるケガの治療で通院や入院をした場合、入通院慰謝料(傷害慰謝料)を請求できますが、金額は治療期間に応じて決められるため、治療期間が短いと金額も少なくなってしまいます。
また、休業損害の対象となる期間も症状固定日までなので、通院のために仕事を休んでいるような状態では、症状固定に応じるべきではありません。

損害賠償金の金額で損をしないためにも、保険会社から症状固定を打診されてもすぐには応じないで、医師と相談して必要な治療は続けることが重要です。

しかし、「ケガの程度に対して治療期間が長すぎる」などと保険会社が主張し、症状固定の時期を巡って激しく対立するケースがあります。
もし、示談交渉で決着がつかなければ、裁判を起こし、裁判所の判断を仰ぐことになる可能性もあります。

3-2.後遺障害の等級認定に必要な治療期間が経過しているか

症状固定は、治療を継続しても効果が望めず、症状の改善が見込めなくなる状態を意味するので、何らかの後遺症が残っていることになります。

交通事故により何らかの後遺症が残った場合、後遺障害の等級認定を申請することができます。
後遺障害の等級に認定されると、入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益(後遺障害が残ったことで将来得られなくなった利益)を請求することができます。

しかし、後遺障害の等級認定を受けるためには、一般的に6か月以上の治療期間が必要とされています。
残っている後遺症が後遺障害に該当するかどうかについて、医師と相談しながら確認し、該当するようであれば、6か月以上は治療を受けるようにしましょう。

4.治療費が打ち切られても自己負担で治療を継続できる

症状固定の打診に対し、治療継続の必要性を伝えたとしても、保険会社が治療費の支払いを打ち切るケースがあります。
治療費が支払われなくなったとしても、治療を続けたい場合、被害者が治療費を自己負担しながら、治療を受けることを検討しましょう。

医師が治療の必要性を認めているのに、保険会社が治療費を打ち切った場合、本来は保険会社が負担するべき治療費を被害者が立て替えていることになります。
被害者が立て替えた治療費については、示談交渉の場で保険会社に請求することができるのです。

また、治療費を自己負担する際、自身の健康保険を利用することで、支払いの負担を抑えることができます。

しかし、被害者が自己負担した治療費の請求を認めるかどうかを巡り、保険会社と対立する可能性があり、示談交渉で決着がつかなければ、やはり裁判所の判断を仰ぐことになります。

5.症状固定を打診されたら弁護士にご相談を

保険会社から症状固定を打診された場合、医師はもちろん、交通事故の実績が豊富な弁護士に相談することも重要です。
弁護士に相談し、対応を依頼することで次のようなメリットがあります。

  • 治療費の支払い継続を交渉してくれる
  • 治療の受け方についてアドバイスしてくれる
  • 症状固定後の対応も任せられる

5-1.治療費の支払い継続を交渉してくれる

前述した通り、症状固定の打診に対し、治療の継続が必要と医師が判断していることを伝え、治療費の支払いを求めても、聞き入れてもらえないケースがあります。

交通事故に詳しい弁護士に依頼すれば、法律や医療、保険実務などの知識も活用して、保険会社に対して治療費の打ち切りの回避を交渉します。
さらに、後遺障害の等級認定の手続きや保険会社との示談交渉などを見据え、適切な症状固定時期にするための交渉も行います。

5-2.治療の受け方についてアドバイスしてくれる

治療の方針や症状固定の時期などについて、医師の判断に不満を感じるケースも少なくありません。
しかし、治療を担当している医師に不満を伝えることに、ためらいを感じる人もいるでしょう。

この点、交通事故に詳しい弁護士であれば、保険会社の対応はもちろん、後々の示談交渉を見据えた治療・通院時の注意点にも熟知しているので、医師とのやり取りや対応について適切にアドバイスすることが可能です。

5-3.症状固定後の対応も任せられる

症状固定となった後は、後遺障害の等級認定の申請手続きや、保険会社との示談交渉など、さまざまな手続きが発生します。
これらの手続きは適切に進めないと、最終的に支払われる損害賠償の金額で大きく損をしてしまう可能性があります。

弁護士に依頼すれば、最大限の損害賠償金の獲得を目指して手続きを進めてくれます。

なお、症状固定に関する詳細は、次のQ&Aで詳しく解説していますので、こちらをご参照ください。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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