交通事故に遭った場合、自賠責保険で補償される内容を弁護士が解説

交通事故のよくあるご相談Q&A(FAQ)

自動車保険

Q.uestion

自賠責保険の補償内容を教えてください。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
Answer

交通事故の被害者がケガをした、または後遺障害が残ったり亡くなった場合に、治療費や慰謝料、逸失利益、葬儀費用といった保険金が支払われます。

0.自賠責保険とは

自賠責保険は、すべての自動車やバイク(二輪自動車)、原動機付自転車(原付)に加入が義務付けられている強制保険です(自動車損害賠償保障法第5条)。
必ず加入する保険なので、交通事故の加害者が任意保険に未加入で、十分な資力がなかったとしても、被害者は最低限の補償を受けられます。

自賠責保険の加入義務に違反した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(同法86条の3第1項)。
また、6点の違反点数も付くため、過去に免許の停止や取消しの処分を受けたことがなくても、ただちに30日間の免許停止になります。

なお、自賠責保険が補償するのは、交通事故の被害者がケガをした、後遺障害が残った、死亡したなど、死傷者が発生した人身事故のみです。
車両や所持品といった物が壊れたものの、死傷者がいない物損事故は補償の対象外です。

自賠責保険の補償範囲を示す画像。自賠責保険は死傷者が発生した人身事故のみ補償され、物損事故は対象外となり補償されない。

1.自賠責保険で補償される金額の上限

任意保険は、保障される金額を各保険会社が決めていますが、自賠責保険は、被害の内容によって補償される金額の上限が決められています。
具体的な金額は次の通りです。

被害者がケガをした120万円
被害者に後遺障害が残った75万円~4,000万円
被害者が死亡した3,000万円

被害者に後遺障害が残った場合に補償される金額については、症状の程度に応じた後遺障害の等級によって決められています。

2.ケガをした場合の補償内容

被害者がケガをした場合、120万円を上限額として保険金が支払われます。
この上限額の中から、次のような損害に対して、保険金が支払われます。

支払いの対象となる損害 支払基準
治療費
診察料や手術料、投薬料や処置料、入院料等の費用など
治療に要した必要かつ妥当な実費
看護料
原則として12歳以下の子どもに近親者などの付き添いや、医師が看護の必要性を認めた場合の、入院中の看護料や自宅看護料・通院看護料
入院1日4,200円
自宅看護か通院1日2,100円
これ以上の収入減の立証で近親者1万9,000円、それ以外は地域の家政婦料金を限度とした実額
諸雑費
入院中に要した雑費
原則として1日1,100円
通院交通費
通院に要した交通費
通院に要した必要かつ妥当な実費
義肢等の費用
義肢や義眼、眼鏡、補聴器、松葉杖などの費用
必要かつ妥当な実費
(眼鏡の費用は5万円が限度)
診断書等の費用
診断書や診療報酬明細書などの発行手数料
発行に要した必要かつ妥当な実費
文書料
交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料
発行に要した必要かつ妥当な実費
休業損害
事故の傷害で発生した収入の減少
(有給休暇の使用、家事従事者を含む)
原則として1日6,100円
これ以上の収入減の立証で1万9,000円を限度とした実額
慰謝料
交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償
1日4,300円
対象日数は被害者の傷害の状態、実治療日数などを勘案して治療期間内で決定

3.被害者に後遺障害が残った場合の補償内容

交通事故によるケガの治療を続けても、何らかの後遺症が残ってしまう可能性があります。
後遺症が残った場合、後遺障害の申請手続きを行い、その等級認定を受けることで、後遺症は後遺障害の状態にあると判断されます。

後遺障害の等級は、症状の内容に応じて1級から14級(要介護状態は1級と2級)に分類されます。
後遺障害の等級認定を受けると、ケガをした場合の補償に加え、後遺障害に対する補償を別途受けることができます。

後遺障害が残った場合、自賠責保険から補償される金額の上限は75万円~4,000万円で、上限額は、症状の程度に応じた後遺障害の等級によって決められています。
そして、上限額の中から次のような損害に対して、保険金が支払われます。

支払いの対象となる損害支払基準
逸失利益
身体に残した障害による労働能力の減少で、将来発生するであろう収入減
収入および障害の各等級(第1~14級)に応じた労働能力喪失率、喪失期間などによって算出
慰謝料等
交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償
神経系統の機能や精神・胸腹部への著しい障害で、介護を要する傷害が残った場合
第1級で1,650万円、第2級で1,203万円
※被扶養者がいれば増額
上記以外の後遺障害の場合
1,150万円(第1級)~32万円(第14級)
※被扶養者がいれば増額(第1~3級)

4.被害者が死亡した場合の補償内容

被害者が死亡した場合の上限額は3,000万円で、次のような損害に対して保険金が支払われます。

支払いの対象となる損害支払基準
葬儀費
通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用
(墓地、香典返しなどは除く)
100万円
逸失利益
被害者が死亡しなければ将来得たであろう収入から、本人の生活費を控除したもの
収入および就労可能期間、被扶養者の有無などを考慮して算出
慰謝料被害者本人の慰謝料400万円
遺族の慰謝料
金額は慰謝料の請求権者(被害者の父母、配偶者及び子ども)の人数により異なる
請求者1名で550万円、2名で650万円、3名以上で750万円
被害者に被扶養者がいる場合、200万円が加算

5.自賠責保険の上限を超える損害が発生したら?

被害者がケガをした場合、自賠責保険の上限額は120万円ですが、治療が長引けば、治療費や休業損害、慰謝料などが高額になり、上限を超えてしまうことも考えられます。
また、被害者に後遺症が残ったり、被害者が死亡したりした場合も、上限額を超える損害が発生するケースが少なくありません。

上限額を超える損害が発生した場合、加害者が任意保険に加入しているかどうかによって、誰に請求するかが異なります。

なお、事故の発生に対して被害者にも責任(過失)がある場合、上限額を超える分の損害を請求するかどうかを、慎重に判断しなければなりません。

5-1.加害者が任意保険に加入している場合

自賠責保険の上限額までの分と上限を超える分を、任意保険会社がまとめて支払うことが一般的です。

具体的な流れとしては、被害者に発生した損害額が確定すると、加害者が加入する任意保険会との示談交渉が始まり、損害賠償金が提示されます。

賠償金額に納得できれば、示談が成立し、保険会社から損害賠償金が支払われます。
金額に納得できなければ、任意保険会社との示談交渉を通じて増額を求めていくことになります。

5-2.加害者が任意保険に加入していない場合

まず自賠責保険に対して上限額まで請求し、上限額を超えた分は、加害者本人に請求します。
しかし、加害者に資力がないことも多く、必ずしも全額を回収できるとは限りません。

また、そもそも交渉に応じてくれなかったり、金額の相場がわからず交渉で揉めたりして、賠償金をすぐに受け取れないリスクもあります。

対応策として、健康保険を使って治療費の負担を抑えたり、労災保険や自身の人身傷害保険から補償を受けたりするといった対策を講じることが重要です。
ほかにも、弁護士に依頼すれば、加害者も真剣に示談に応じるようになり、支払いに応じる可能性も高まるでしょう。

5-3.被害者にも過失がある場合は慎重に対応を

損害賠償金を計算する際、事故の発生に対し、加害者と被害者のそれぞれにどの程度の責任があるかに応じて、金額を調整することになります。

責任の程度は「10対0」「7対3」などの数値で表現し、この数値を過失割合と呼びます。
被害者にも過失割合が付いた場合、損害額から過失割合の数値を割り引くことで計算します(過失相殺)。

たとえば、被害者に150万円の損害が発生したものの4割の過失があるケースでは、損害賠償金を損害額(150万円)から4割を引いて計算するため90万円となります。

一方、自賠責保険では被害者救済のため、過失割合が7割未満だと過失相殺を行わず、7割以上の過失割合があっても、実際より少ない割合で過失相殺を行うルールがあります。

被害者の過失割合減額割合
後遺障害または死亡ケガ
7割未満減額なし
7割以上8割未満2割減額
8割以上9割未満3割減額2割減額
9割以上10割未満5割減額2割減額

被害者の過失割合が4割、損害額が150万円で、被害者がケガをした事故では減額が行われないため、損害賠償金額は自賠責保険の上限額にあたる120万円です。

このように、被害者にも過失がある場合、過失割合によっては、あえて上限を超える分は請求せず、自賠責保険から上限額まで受け取った方が望ましいケースもあるので、慎重な対応が必要です。

6.自賠責保険の上限を超える損害が発生したら弁護士に相談を

自賠責保険の上限を超える損害が発生した場合、加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社と交渉することになります。

保険会社が提示する賠償金額に不満があれば、自ら保険会社と交渉して増額を求めること自体は不可能ではありませんが、成功する可能性は非常に低いです。
保険会社は支払い額を抑えるため、交通事故と交渉に関する知識や経験を駆使し、さまざまな理由から増額を拒否してくることが考えられるためです。

この点、交通事故に詳しい弁護士に保険会社との交渉を依頼すれば、法的に請求可能な最大限の金額を示しながら、保険会社と対等以上の立場で交渉できるため、増額の成功が期待できます。

また、加害者が任意保険に加入していない場合や、被害者に過失割合があるようなケースでも、どのように対応するべきか弁護士がアドバイスをしてくれます。
自分で対応しようとすると賠償金額で損をしてしまう可能性があるので、専門家である弁護士にまずは相談することをおすすめします。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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