諸費用
事故車のレッカー代は損害として認められますか?
交通事故により自動車などが走行できなくなったため、レッカー車を使用して修理工場などに運んだ場合、発生したレッカー代を損害として請求できます。
交通事故により自動車などが大破してしまい、走行できなくなった場合、レッカー車を使用して修理工場まで車両を運んでもらうことになります。
その際に発生したレッカー代は、損害として保険会社に請求することができます。
ただし、次のようなケースでは、レッカー代を請求しても基本的に認められません。
- 自走が可能なのにレッカー車を使用した
- 必要以上の距離でレッカー車を使用した
- レッカー車を2回以上使用した
自走が可能なのにレッカー車を使用した
少し自動車をこすっただけなど、事故後も走行できる状態なのにレッカーを使用した場合、レッカー代を請求しても認められません。
しかし、走行自体はできたとしても、ウインカーが点灯しなかったり、バンパーが外れていたりする状態で走行すると、整備不良車両を運転したとして、道路交通法などの法令に違反する可能性があります。
事故車の走行が許される状態か否かについて、判断が難しい場合は事故現場に来た警察などに相談するようにしましょう。
必要以上の距離でレッカー車を使用した
請求できるレッカー代は、必要と認められる範囲に限られます。
そのため、もっと近くに修理工場やディーラーがあるのに、不必要に遠くまで運んだような場合、レッカー代は全額支払われません。
レッカー車を2回以上使用した
基本的にレッカー代の請求が認められるのは、事故現場から修理工場やディーラーまで運ぶなど、1回分の費用までです。
ただし、2回に分けて移動させる必要性があったと認められれば、2回分のレッカー代が支払われる場合があります。
裁判例でも、事故の発生が深夜だったため、まずはクレーン会社が車両を事故現場から同社まで運び、その後に修理工場まで移動させた事例で、2回分の費用請求が認められました(大阪地裁平成13年12月19日判決)。
レッカー代に関するトラブルは弁護士にご相談を
保険会社がレッカー代の請求を認めない、実際にかかった代金より少ない金額が提示されたなど、レッカー代を巡るトラブルは弁護士にご相談ください。
弁護士が被害者に代わり、レッカー代の支払いや増額などを保険会社に請求します。
保険会社に請求する金額よりも弁護士費用の方が高いため、費用倒れになることが心配な場合は、加入中の自動車保険や火災保険に「弁護士費用特約」が付帯していないか確認しましょう。
弁護士費用特約を付帯していれば、弁護士費用が保険から支払われるので、費用の負担を気にすることなく、弁護士に依頼できます。
- この記事を監修した弁護士
弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。