交通事故に遭ったら病院に行くべき理由や行かない場合のリスクを解説

解決!交通事故の弁護士コラム

【弁護士監修】交通事故の被害に遭ったら必ず病院へ!理由も詳しく解説!

手続き
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士
弁護士 大橋 史典 弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

0.ケガがなくても病院に行くことが大切!

交通事故の被害に遭った場合、事故の強い衝撃を受けることでむち打ち(頸椎捻挫)になったり、骨折などの重傷を負うこともあるでしょう。
また、事故当日には痛みや外傷はなくても、当日の夜や、数日後に痛みやしびれなどの症状が出てくることもあります。

痛みが出てから病院に通っても、事故日と初診日に大きな開きがある場合は、事故とケガとの因果関係が否定され、加害者の保険会社から治療費が支払われないなど、さまざまな不利益を受ける可能性があります。
そのため、交通事故後はすぐに病院に行くことが大切です。

このコラムでは、交通事故に遭ったら病院に行くべき大切な理由を、交通事故に強い弁護士が詳しく解説します。

1.事故に遭ったら病院に行くべき理由

事故直後から病院に行くべき理由は大きく分けて5つあります。

1-1.数日後に症状が現れることがあるため

交通事故の衝撃を受け、頭を強く打ち付けたり、首に大きな負荷がかかった場合は、むち打ちになってしまうことがあります。

そして、むち打ちは、事故直後から痛みやしびれなどの症状が現れるとは限らないという特徴があります。
また、むち打ちに限らず、身体の内部が損傷しており、さまざまな症状が現れることも考えられます。

事故直後に病院を受診していれば、身体やケガの状態を詳しく検査してもらうことができますので、早期に治療を始められたり、重症化を防ぐこともできるでしょう。
ケガを早く治すためにも、事故に遭ったらすぐに病院に行くことが大切です。

1-2.人身事故に切り替えられないため

事故直後に病院を受診していない場合、負傷者なしと判断され、発生した交通事故は物損事故の扱いとして処理されます。

しかし、後から症状が現れた場合は、治療費や慰謝料などの損害賠償金を加害者に請求することができます。
ただし、治療費や慰謝料などの人的損害(人損)に関する賠償金は、交通事故が人身事故として扱われていなければ、請求することができません。

もし、事故直後や数日以内に病院を受診していない場合には、すみやかに病院を受診しましょう。
そして、事故現場を管轄している警察署に、医師が作成した診断書を提出して、人身事故への切り替えを申し出てください。

この場合、人身事故への切り替えが認められればよいのですが、必ずしも認められるとは限りません。そのため、すぐに病院に行くことが重要です。

1-3.保険会社に事故とケガの因果関係を否定されないため

事故日と初診日までの期間が空いている場合、保険会社から、事故で負ったケガではないなどとして、事故との因果関係が否定されてしまうことがあります。

この因果関係が認められなければ、加害者の保険会社が病院へ治療費を直接支払う対応(一括対応)を受けることができません。

病院の受診が遅れてしまうと、治療費を自己負担しながら通院することになりかねませんので、注意が必要です。
なお、自己負担した治療費は示談交渉の際に請求することは可能です。

1-4.適切な賠償金を請求できなくなるため

交通事故で請求できる賠償金の1つに入通院慰謝料(傷害慰謝料)があります。これは、被害者が実際に入院・通院した期間にもとづいて金額が計算されます。

病院の受診が遅れてしまうと、事故日から初診日までの期間が計算の対象外とされ、低額な金額が提示されてしまう可能性があります。

また、繰り返しになりますが、そもそも人身事故への切り替えが認められなければ、治療費や慰謝料、休業損害などの人損に関する賠償金を請求することができません。
事故に遭ったら必ず病院を受診するようにしましょう。

1-5.後遺障害等級に認定されない可能性があるため

残念なことに、交通事故のケガは必ず完治するとは限りません。もし適切な治療を受けても症状が完治しない場合は、医師から症状固定の診断を受けることになるでしょう。

この症状固定の診断を受けた時期に残っている症状が後遺症となります。
そして、この後遺症について、後遺障害の等級認定を申請することができます。

ただし、後遺障害等級の認定には、およそ約6か月以上の治療期間が必要とされており、治療期間が短い場合には等級が認定されない可能性があります。

また、後遺障害の等級認定は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、画像検査(レントゲン・CT・MRIなど)や、神経学的検査(ジャクソンテスト・スパーリングテストなど)などの必要な検査を受けて、これらの所見もあわせて提出する必要があります。

事故直後や数日経過しても病院を受診していないと、事故直後の状態を正確に把握することができないため、後遺症が残った場合にも、さまざまな不利益を被る可能性が考えられます。

2.病院に通院するときのポイント

上記のように、事故直後に病院を受診していない場合、さまざまなリスクや影響が考えられますので、事故に遭ったら必ず病院を受診する必要があります。

ただし、病院に通う場合にも、被害者の方が気をつけるべきポイントがいくつかあります。
ここからは、病院に通院する際のポイントを解説します。

2-1.事故直後・数日以内に受診する

事故直後から現れた症状や身体の状態を適切に診断してもらうためにも、事故直後、あるいは、数日以内には病院を受診しましょう。

たとえ自覚症状がなくても、後から症状が現れる場合や、実は骨や筋肉、じん帯など身体の内部を損傷していることがあります。最悪の場合は後遺症が残ることも考えられます。
また、すみやかに病院を受診して、治療を受け始めれば、早期回復も目指すことができるでしょう。

さらに、事故直後に病院を受診していれば、事故とケガの因果関係を疑われることがなくなるため、事故直後や数日以内に通院を始めましょう。

2-2.適切な期間・頻度で通院する

病院への通院は、事故直後だけではなく、継続して通院する必要があります。
通院期間の目安としては、症状が完治した場合や、医師に症状固定と診断されるまでは通院するとよいでしょう。

また、通院頻度も非常に重要です。
たとえば、月に1回しか通院していないような場合には、治療の途中であっても、治療の必要性はない(低い)と判断され、加害者の保険会社から治療費支払いの対応を打ち切られてしまうことがあります。
そのため、医師と相談しながら、適切な期間・頻度で通院するようにしましょう。

2-3.必要な検査を受ける

病院を受診したら、身体の状態やケガの程度などを診断してもらうために、必要な検査を受けましょう。

たとえ、事故直後に痛みがなくても、検査を受けることが望ましいとされています。まだ自覚症状がないだけで、身体の内部を損傷していることも考えられますし、早めに治療を受けることで、適切な処置を受けることも可能です。

たとえば、まだ自覚症状がなくても、交通事故の衝撃で首や腰に強い負荷がかかった場合には、医師にその旨を相談して、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査を受けるとよいでしょう。
これによって、頸椎や腰椎の状態や、神経や筋肉などの損傷具合などを正確に診断してもらうことができます。

3.治療中にトラブルが発生したら弁護士に相談

交通事故の治療中では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。

とくに、人身事故扱いにされなかった、治療費支払いを打ち切るなどと言われたときには要注意です。

治療中のトラブルについて、被害者の方が自分で保険会社と交渉することは、肉体的・精神的・時間的にとても大きな負担となります。
また、保険会社は、保険金の支払いや交通事故に関する交渉経験が豊富ですから、被害者の言い分がなかなか認められない可能性があります。

そのため、トラブルが発生してしまったり、少しでも不安なことがあれば、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故に詳しい弁護士なら、交通事故の取扱実績が豊富であり、賠償金額や過失割合などの法的判断を熟知しています。
また、被害者の代わりに保険会社などと示談交渉してくれますので、大きな負担を無くすことができ、ケガの治療に専念することができるでしょう。

また、弁護士は、「弁護士基準」という計算基準を使って、損害賠償金を算定します。
この基準は交通事故に関するこれまで積み重ねられた裁判例にもとづいていますので、慰謝料などの損害賠償金について法的に最大限請求可能な金額を計算することができます。
そのため、損害賠償金の増額が期待できるのです。

交通事故の対応に不安や悩みがある、保険会社から治療費打ち切りを言われたなどの場合には、すぐに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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