和解 [わかい]
- 意味
- 賠償金額などを巡って相手方と争いがある場合に、裁判の判決によって決着するのではなく、お互いが主張を譲歩し合って争いを終わらせることです。
- 解説
和解が行われる場面とは?
交通事故では、加害者やその保険会社と賠償金額や過失割合などを巡り、争いになるケースがあります。
話し合いの結果、お互いに譲歩できる点が見つかり、争いを終わらせることができると和解に至ります。
また、和解と同じような意味で「示談(じだん)」という言葉も使われます。そして、和解は主に次のような場面で行われます。
- 示談交渉
- ADR
- 調停
- 訴訟
示談交渉
交通事故の被害に遭ったとき、加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社から賠償金額や過失割合が提示されます。
提示された内容に納得できなければ、示談交渉を行います。示談交渉の結果、お互いに合意することができれば和解(示談)が成立します。
ADR
ADRとは「裁判外紛争解決手続」のことで、示談交渉がまとまらなかった場合などに、裁判所ではない第三者(ADR機関)が仲介し、話し合いにより解決を目指す手続きです。
代表的なADR機関として「交通事故紛争処理センター」(紛セン)などがあります。ADRの費用は無料か、訴訟費用よりも安価に利用できることが多く、裁判よりも比較的短期間での解決を目指せるため、費用や時間の負担が少ないというメリットがあります。
ただし、ADRを利用しても必ずしも解決につながるわけではないことや、加害者が自動車ではなく自転車の場合は、ADRの対象外になるなど、様々な注意が必要です。
調停
調停もADRと同様に、第三者を介した話し合いにより解決を目指す手続きですが、調停は裁判所が間に入ります。
また、調停はADRと異なり、利用の条件に特段の制限がなく、調停を申し立てると調停が終わるまでは損害賠償請求権の時効完成を阻止できるといったメリットがあります。
訴訟
示談交渉やADRまたは調停を行なっても、話し合いがまとまらない場合、訴訟を起こし解決を目指すことができます。
損害賠償金の算出基準には、自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)の3種類がありますが、訴訟では最も高額である裁判所基準が使われます。訴訟は、示談交渉やADR、調停とは異なり、当事者間の話し合いではなく、裁判所による裁判(判決)により、争いを解決する手続きです。
ただし、判決を言い渡す前に、裁判所が和解案を提示するケースが多く、当事者が応じれば和解することになります。調停や訴訟手続きの中で行われた和解(裁判上の和解)は執行力があるため、相手方が賠償金の支払いを拒否するなど、和解の内容に従わない場合、裁判所を通じて相手の財産を強制執行する(差し押さえる)ことができます。
その一方、示談交渉やADRの和解には執行力がありませんが、公正証書により和解書(示談書)を作成すると執行力が発生します。
自分の判断で和解せず、弁護士に相談を
和解には、裁判で争うよりも早期解決を目指せるといったメリットがありますが、自分の判断で安易に和解することにはデメリットが少なくありません。
保険会社は支払額を抑えるため、過失割合を加害者が少しでも有利になるよう判断したり、低額な賠償金を提示したりすることが一般的です。
また、保険会社は交通事故の示談交渉の知識や経験が豊富なので、自分自身で対等に交渉するのは非常に困難であり、不利な条件で和解してしまう可能性があります。
そして、一度、和解をしてしまうと、後からこれを覆すことができないのが原則です。
交通事故に詳しい弁護士に交渉を依頼することで、損害賠償金の増額などが期待できるので、まずは相談するようにしましょう。
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- ADR[えーでぃーあーる]
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