交通事故を警察に届け出る理由や届け出なかったリスクを弁護士が解説

解決!交通事故の弁護士コラム

【弁護士監修】交通事故を警察に届け出るのはなぜ?対応方法などを詳しく解説!

警察対応
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士
弁護士 大橋 史典 弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

0.交通事故を起こしたら必ず警察に報告する

交通事故を起こした場合、負傷者がいるときには、負傷者を救護し、事故が発生した事実を警察に報告する必要があります。
そして、これらの対応は、法律で課せられている運転者の義務です(道路交通法第72条)。

そのため、もしも負傷者の救護や、警察への報告をしなかった場合には、この義務に反することになります(救護義務違反・報告義務違反)。
刑罰が科され、ひき逃げ・当て逃げとして逮捕される可能性もあるのです。

このような理由から、交通事故を起こした(遭った)場合には、必ず警察に報告する必要があります。

そこで、このコラムでは、交通事故を起こした場合に運転者がやるべきこと、警察への届け出の重要性について詳しく解説します。

1.運転者の救護義務とは

救護義務とは、その名の通り、交通事故の負傷者(被害者)を救護する義務のことです。
救護義務の内容は、①直ちに運転を停止し、②負傷者を救護し、③道路上の危険を防止するための措置をとるなどがあります。

1-1.直ちに運転を停止・道路上の安全確保

車両を道路の左側に寄せたりして、後続車両の通行を妨げないよう安全な場所に停車しましょう。
そのうえで、ハザードランプ(前照灯・尾灯)などを点け、周囲に停車していること、また、事故が発生したことがわかるようにしましょう。
二重事故を防止することも、交通事故を起こした場合の大切な措置となります。

1-2.負傷者の把握・救護

車を停車、道路上の安全確保が済んだら、負傷者の人数やケガの状態などを確認します。
意識不明や重症の場合には、直ちに救急車を呼び(119番)、できる限りの範囲で応急手当をすることが大切です。
また、被害者と会話や意思疎通が可能であり、軽傷であるなどの場合には、次に解説する方法で警察に連絡しましょう。

2.運転者の報告義務とは

交通事故を起こした(遭った)場合、必ず警察に報告することが義務付けられています。
そして、報告をしなかった場合は、後述する罰則や法的責任に問われます。

また、警察に報告するときには、下記のことを伝えるようにしましょう。

  1. 交通事故が発生した日時と場所
  2. 死傷者の人数や負傷の程度
  3. 損壊した物や損壊の程度
  4. 交通事故に関係する車両の積載物
  5. 安全確保などの行った措置

警察官がすでに現場に到着していた場合にはその場で、まだ来ていない場合には電話(110番)で伝えることになります。なお、119番に通報すると、同時に消防署から警察にも通報が入ることが一般的です。

交通事故を起こしてパニックになったとしても、できる限り落ち着いて、正確に伝えるとよいでしょう。

3.救護・報告義務違反の罰則

死傷者がいる事故を起こし、負傷者の救護、警察への報告を行わずに、その場から逃走することを「ひき逃げ」といいます。

3-1.ひき逃げの罰則

ひき逃げをした場合、「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」(道路交通法第117条1項、2項)が科されることになります。

また、ひき逃げをした場合、35点の違反点数が累積されます。
ひき逃げをしてしまうと、一発で免許が取り消されます(免取)。さらに、免許が再取得できない期間も生じてきます。

このような、免許を再取得できない期間のことを「欠格期間」といいます。
欠格期間は、過去に交通違反を犯し、違反点数が累積されているような場合には、再取得までの期間が延びる可能性があります。

たとえば、前歴なしで、ひき逃げのみの違反点数が点いた場合の欠格期間は3年です。
ただし、30キロの速度超過をしていた場合には、この場合の違反点数6点とひき逃げの違反点数35点を合わせて、累計41点となります。
この場合の欠格期間は、5年となります。

このように、ひき逃げをしてしまい、しかも、過去に違反点数が累積しているような場合には、欠格期間が異なりますので、注意が必要です。

交通違反の点数や、欠格期間については、警視庁のHPに掲載されていますので、ご参照ください。

3-2.物損事故でも報告すること

交通事故は起こったけれども、車や外壁などの物のみが損壊して、死傷者がいない事故のことを「物損事故」といいますが、この場合でも警察に報告する必要があります。

もしも、物損事故を起こしてその場から逃走した場合は、ひき逃げではなく、「当て逃げ」と呼ばれます。

当て逃げをした場合、たとえば、道路上に破損した物の破片などが散乱し、道路上の安全を確保せずに逃走した場合は、危険防止措置義務違反として、「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」が科せられる可能性があります(同法第117条の5第1号)。

また、道路上の安全を確保するほどではないにしろ、物損事故を起こして逃走した場合は、報告義務違反として、「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」に科される可能性があります(同法第119条1項10号)。

このように、交通事故を警察に届け出てないと、法的な責任に問われる可能性があるため、必ず救護・報告をするようにしましょう。

4.警察への報告後の流れ

交通事故を警察に報告した後の流れは、下記の通りです。

4-1.実況見分や聞き取り捜査に協力する

警察が事故現場に到着し、安全が確保された後には、「実況見分」という捜査が行われます。

実況見分では、交通事故の被害者・加害者の把握、事故の内容・日時、被害状況、目撃証言などが聴取されます。

その後、実況見分で聴取された内容は、「実況見分調書」という書類にまとめられ、後の示談交渉において過失割合や賠償金の算定をする際に重要な証拠書類となります。

また、調書に記載される内容は、原則として、警察に話した内容がそのまま記載されます。そのため、明確に覚えていることのみを伝えるとよいでしょう。

4-2.相手方の情報を収集する

交通事故に遭ったら、必ず加害者の連絡先や保険会社の情報を取得してください。具体的には、下記の情報を聴取するとよいでしょう。

  1. 名前
  2. 住所・電話番号
  3. 車のナンバー
  4. 保険会社名・担当・電話番号
  5. 事故直後の証言

その後の手続きで、加害者やその保険会社と連絡を取り合うことになります。
そのため、相手方の情報を確実に入手しておくことでスムーズに示談交渉などを進めることができます。

4-3.自分の保険会社に連絡をする

交通事故に遭ったことを自分が加入している保険会社にも連絡するとよいでしょう。

連絡することで、ケガの治療や車両の修理に使える保険や特約などを案内してもらえる可能性もあります。

4-4.病院を受診する

ここまでの一連の流れを終えたら、病院(整形外科)を受診しましょう。

交通事故のケガは、ある程度の時間を経過してから現れる場合もあります。
そのため、事故時に痛みや外傷がなくても、必ず受診してください。

また、事故日と初診日に大きな開きがある場合、「ケガの原因は交通事故によるものではない」とケガと交通事故の因果関係が疑われてしまうことがあります。

そのため、交通事故に遭った場合は、すぐに病院を受診しておくことが重要です。

5.警察に報告しないと交通事故証明書が発行されない

交通事故を警察に届け出なかった場合、賠償金を請求する際に必要となる「交通事故証明書」が発行されません。

交通事故証明書は、自動車安全運転センターが警察から提供された証明資料にもとづいて発行され、交通事故の事実を証明するための書面です(自動車安全運転センター法第29条5項)。

この書類は、保険会社に賠償金や保険金を請求するときに必要な書類です。
もし警察への報告をしていなかった場合は、交通事故証明書が発行されず、人的損害(人損)に関する賠償金を受け取れなくなる可能性があるため、必ず交通事故を警察に届け出てください。

6.交通事故の対応で不安なときは弁護士に相談を

どんなに注意していても、交通事故が起きてしまう可能性は否定できません。
また、交通事故に遭ってしまったときは、突然のことでパニックになってしまうこともあるでしょう。
それでも、交通事故に遭ってしまった場合には、必ず警察に届け出るということは覚えておいてください。

そして、交通事故後の対応で不安や悩みがあれば、交通事故に強い弁護士にご相談ください。

事故直後から弁護士に相談すれば、事故直後からの対応や治療中のアドバイス、保険会社とのやり取りや損害賠償金の示談交渉など、さまざまなサポートを受けることができます。
交通事故の損害賠償請求では、満足のいく賠償金を受け取るためには被害者の方が気をつけるポイントがいくつもあります。

不適切な方法で対応してしまうと、十分な賠償金を受け取れない可能性がありますので、事故直後から弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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