自動車すべてに加入義務がある自賠責保険の補償内容や仕組みを解説

解決!交通事故の弁護士コラム

【弁護士監修】自賠責保険の補償内容や仕組みをわかりやすく解説!

自動車保険
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士
弁護士 大橋 史典 弁護士法人プロテクトスタンス所属
(第一東京弁護士No.53308)

0.自賠責保険はすべての自動車が必ず加入する

すべての自動車やバイク(二輪自動車)、原動機付自転車(原付)は、自賠責保険に加入しなければなりません(自動車損害賠償保障法第5条)。

自賠責保険に加入していることで、交通事故の加害者に十分な資力がなかったり、任意保険に未加入だったりしても、負傷した被害者は最低限の補償を受けることができます。

今回のコラムでは、自賠責保険の補償内容や仕組み、保険金の請求などについて詳しく解説します。

1.任意保険とは何が違う?

自動車などに関する保険として、自賠責保険のほかに任意保険があります。
2つの保険には、主に次のような違いがあります。

自賠責保険(強制保険)任意保険
加入義務ありなし
物損事故の補償なしあり
保険金の額法令で決められている各保険会社が決めている

1-1.自賠責保険に未加入だと罰則を受ける

任意保険に加入する義務はありませんが、自賠責保険は加入が義務付けられています。
もし、自賠責保険の加入義務に違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(同法86条の3第1項)。

また、行政処分の対象にもなっており、6点の違反点数が付けられます。
6点が付くと、過去に免許の停止や取消しの処分を受けたことがなくても、ただちに30日間の免許停止になります。

1-2.自賠責保険の補償対象は人身事故のみ

自賠責保険は、被害者の傷害(ケガ)や後遺障害、死亡など、人身事故による損害のみを補償の対象としています。
交通事故により車両や所持品などが壊れたものの、死傷者が発生しなかった場合の物損事故は補償の対象外です。

なお、人身事故でも被害者が信号無視をしたなど、加害者に責任や過失(不注意)がまったくない事故の場合も、被害者は補償されません。

一方で任意保険は、人身事故だけでなく物損事故についても、対物賠償保険や車両保険などにより補償を受けられます。

1-3.自賠責保険で補償される金額には上限がある

任意保険で補償される金額は、各保険会社が決めていますが、自賠責保険は、次のような上限が定められています。
なお、後遺障害の金額は、症状の程度に応じた等級によって決められています。

被害者がケガをした120万円
被害者に後遺障害が残った75万円~4,000万円
被害者が死亡した3,000万円

たとえば、被害者がケガをした場合の上限額である120万円には、治療費や通院交通費、休業損害、傷害慰謝料(入通院慰謝料)などの費目が含まれます。
また、後遺障害が残った場合や死亡した場合、上限額の中に慰謝料や逸失利益、葬儀費用(死亡の場合)などが含まれます。

自賠責保険の限度額を超える損害が発生した場合、超えた分については、加害者が任意保険に加入していれば、保険会社に請求します。
加害者が任意保険に加入していなければ、加害者に直接請求することになります。

2.自賠責保険の補償内容

自賠責保険の上限額の中から、どのような損害に対して保険金が支払われるのでしょか?

2-1.ケガをした場合

被害者がケガをした場合、次のような損害に対して保険金が支払われます。

支払いの対象となる損害 支払基準
治療費
診察料や手術料、投薬料や処置料、入院料等の費用など
治療に要した必要かつ妥当な実費
看護料
原則として12歳以下の子どもに近親者などの付き添いや、医師が看護の必要性を認めた場合の、入院中の看護料や自宅看護料・通院看護料
入院1日 4,200円
自宅看護か通院1日 2,100円
これ以上の収入減の立証で近親者1万9,000円、それ以外は地域の家政婦料金を限度とした実額
諸雑費
入院中に要した雑費
原則として1日 1,100円
通院交通費
通院に要した交通費
通院に要した必要かつ妥当な実費
義肢等の費用
義肢や義眼、眼鏡、補聴器、松葉杖などの費用
必要かつ妥当な実費
(眼鏡の費用は5万円が限度)
診断書等の費用
診断書や診療報酬明細書などの発行手数料
発行に要した必要かつ妥当な実費
文書料
交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料
発行に要した必要かつ妥当な実費
休業損害
事故の傷害で発生した収入の減少
(有給休暇の使用、家事従事者を含む)
原則として1日 6,100円
これ以上の収入減の立証で1万9,000円を限度とした実額
慰謝料
交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償
1日 4,300円
対象日数は被害者の傷害の状態、実治療日数などを勘案して治療期間内で決定

2-2.後遺障害が残った場合

被害者に後遺障害が残った場合、次のような損害に対して保険金が支払われます。

支払いの対象となる損害 支払基準
逸失利益
身体に残した障害による労働能力の減少で、将来発生するであろう収入減
収入および障害の各等級(第1~14級)に応じた労働能力喪失率、喪失期間などによって算出
慰謝料等
交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償
神経系統の機能や精神・胸腹部への著しい障害で、介護を要する傷害が残った場合
第1級で1,650万円、第2級で1,203万円
※被扶養者がいれば増額
上記以外の後遺障害の場合
1,150万円(第1級)~32万円(第14級)
※被扶養者がいれば増額(第1~3級)

2-3.被害者が死亡した場合

被害者が死亡した場合、次のような損害に対して保険金が支払われます。

支払いの対象となる損害 支払基準
葬儀費
通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用
(墓地、香典返しなどは除く)
100万円
逸失利益
被害者が死亡しなければ将来得たであろう収入から、本人の生活費を控除したもの
収入および就労可能期間、被扶養者の有無などを考慮して算出
慰謝料 被害者本人の慰謝料 400万円
遺族の慰謝料
金額は慰謝料の請求権者(被害者の父母、配偶者及び子ども)の人数により異なる
請求者1名で550万円、2名で650万円、3名以上で750万円
被害者に被扶養者がいる場合、200万円が加算

3.自賠責保険への保険金の請求方法と請求期限

交通事故の被害者が自賠責保険に保険金を請求する方法には、「加害者請求」と「被害者請求」の2種類があります。
それぞれの請求方法には期限があり、期限を過ぎると請求する権利が時効により消滅してしまうので注意しましょう。

3-1.加害者請求とは

加害者が被害者に慰謝料などの賠償金を支払った場合に、加害者が加入する自賠責保険に加害者が自ら請求する方法です。
請求期限は賠償金を被害者に支払った翌日から3年です。

3-2.被害者請求とは

加害者が加入する自賠責保険に対して、被害者が賠償金の支払いを直接請求する方法です。
被害者は、加害者の支払いを待つことなく賠償金を受け取ることができます。

時効による請求期限は次の通りです。

ケガの場合事故発生の翌日から3年
後遺障害の場合症状固定の翌日から3年
被害者が死亡した場合死亡した翌日から3年

4.治療中に仮渡金を受け取れる

被害者請求の場合、賠償金の請求は、ケガが治癒したり症状固定後に行うのが原則です。
しかし、治療費の支払いなどは被害者にとって負担が大きいので、次の金額を自賠責保険から事前に「仮渡金」として受け取ることができます。

ケガの場合負傷の程度に応じて5万円~40万円
被害者が死亡した場合290万円

最終的に支払われる賠償金額が確定すると、仮渡金として支払われた金額が賠償金から差し引かれます。
もし、仮渡金の金額が賠償金額を上回れば、差額分を返金することになります。

5.加害者が不明・自賠責保険に未加入だと泣き寝入り?

ひき逃げされたため加害者が分からない場合や、加害者が自賠責保険に未加入だった場合、自賠責保険に賠償金を請求することができません。

しかし、このようなケースでは、「政府保障事業」という制度により、政府から保障金を受け取ることができるので、泣き寝入りする必要はありません。
政府保障事業は、本来、加害者が支払うべき賠償金を、政府(国土交通省)が自賠責保険の上限額の範囲で補てんする制度です。

しかし、自賠責保険と同様に人身事故を対象としており、物損事故である当て逃げでは制度を利用できません。

なお、健康保険や労災保険などから給付を受けている場合、給付された金額が保障金から差し引かれます。
また、人身傷害保険から保険金を受け取っていると、この制度を利用できません。

6.賠償金額に不満があれば弁護士にご相談を

交通事故の慰謝料といった賠償金額を計算する際、次の3つの基準が使われます。
そして、どの基準で計算するかによって、受け取れる金額が大きく異なります。

自賠責基準
自賠責保険から損害賠償を受ける場合の計算方法となる基準

任意保険基準
任意保険会社が独自に定めた自社の支払い基準

弁護士基準(裁判所基準)
交通事故に関する過去の裁判で認められてきた賠償金額にもとづいた基準

そもそも、自賠責保険は被害者に対する最低限の補償を目的としているので、自賠責基準は3種類の基準の中で最も低額です。

たとえば、交通事故で骨折し、2か月(60日間)にわたって通院(実際の通院回数は20回)したケースで、自賠責基準と最も高額な弁護士基準による傷害慰謝料の金額を比較してみましょう。

現在の自賠責基準で算出した傷害慰謝料は17万2,000円です。
一方、弁護士基準で算出すると52万円となるので、慰謝料の金額に約3倍もの開きがあります。

弁護士基準による金額まで増額するには、保険会社と示談交渉をする必要があります。
しかし、弁護士基準は弁護士が扱うものですし、保険会社は交通事故の知識と交渉の経験が豊富なため、交渉を有利に進めるには、ほぼ間違いなく弁護士の助けが必要となります。

ぜひ、交通事故に詳しく、増額に成功した実績が豊富な弁護士に示談交渉を依頼してください。

弁護士 大橋史典
弁護士 大橋史典
この記事を監修した弁護士

弁護士 大橋 史典弁護士法人プロテクトスタンス所属
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獨協大学法学部法律学科卒業 明治大学法科大学院法務研究科 修了(68期)。
弊事務所に入所後、シニアアソシエイトとして活躍。交通事故分野を数多く取り扱い豊富な経験を持つ。

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